中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4292回
香港の銀行株にも中国の銀行株にも問題が

私は少し前に香港のH株も
そろそろ反騰期に入るんじゃないかと言いましたが、
香港の中国株だけがすぐにも下げ止って逆に上がりはじめる
ということではありません。
現に今まで高値を維持していた優良銘柄が突然、
売られて新安値をつけたりしていますが、
どうしてかと調べて見ますと、
アメリカの投資銀行が最後まで売らずに手持ちにしていた株が
本社の事情で換金されているからです。

投資銀行や証券会社の投資信託が私たちと違うところは、
私たちはどんなに株が下がっても、将来性のある有望銘柄なら
売らずに持ち続けることができますが、
投資会社は配当をする必要からも、
また解約に応ずるためにも、
定められた期間内に換金を迫られるということです。

ですから優良株として最後まで手元に残していた株でも、
いざとなったら投げ売りの対象になるのです。
私たちがナンピンの対象として狙っても
なかなか下げなかった株がここへ来て
突然投げ売りをされています。
いよいよこれでおしまいかと身構えましたが、
ここへ来てアメリカの金融大手が
中国投資の本命として所有してきた
中国の代表的な銀行の株を手放しはじめています。
一回の売りが何百億米ドルで、
中国の銀行がそれを引き受ける資金には困らないようですが、
ここ数年上昇しなかった銀行株が
更に下値をうかがう動きになっています。

すると、香港を本社とする持株会社でも
これに同調する動きが出て来ると新聞は報じています。
数年前に中国銀行株が売り出された時は
今の3分の1とか4分の1でしたから、
多少下値で換金しても帳簿上は大へんな利益ですから
持株会社に問題はありませんが、
中国系の銀行株といえども
下降線を辿ることは避けられなくなります。
そればかりでなく香港上海バンクをはじめ、
香港を本拠とする銀行が
ユーロ諸国のピンチの影響を逃げ切れないことが
あまり遠くない将来に
表面化する可能性があるのではないでしょうか。


←前回記事へ

2011年12月10日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ