中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4299回
産業界の番付が大きく変わります

不動産も駄目、自動車も駄目だとしたら、
はたして何が残るのでしょうか。
不動産も自動車も一番値段の高いもので、
生活に必要なものだし、誰しもが欲しがるものです。
その最終製品が過剰におちいって採算に乗らないのなら、
その原料になる粗材はどうなんだということになります。

鉄だって、セメントだって、ガラスだって、
建築材料やパーツ・メーカーだって、
企業としてはスケールの大きなものがいくらでもあります。
鉄に至っては「鉄は国家なり」と言われるくらい
一国で重要な地位を占めており、
かつては日本でも八幡製鉄の社長の発言が
大へん重視されておりました。

中国だって数十年前は毛沢東が先頭に立って
旧式の溶鉱炉で製鉄をしていたのが今では日本を遥かに追い抜き、
その需要次第では世界の鉄鉱石の値段を大きく左右しています。
ですからスケールから言っても、
金額的にも鉄が産業界に占める位置は大きいのですが、
昨今は景気不景気に左右される立場で、
景気不景気を左右する立場ではありません。

そうした意味では、セメントだって、電気だって、石油だって
景気の動向を先読みしてそれに対応する産業と言うことになります。
従って産業界全体が景気不景気の動向に神経質になり、
なかでも輸出入に大きな影響をあたえる
為替相場の変動に注目せざるを得なくなります。
その為替相場に大きな異変をもたらすのが
どこの国も抱え込んでいる国の濫費による厖大な借金ですから、
借金を大きく抱え込んだ国とそうでない国が
同じ動きになるわけがありません。

10年もすれば、その違いははっきり誰の目にも映るようになります。
私が「次はアジアの時代だ」というのはそう言うことですが、
「お金を貯めすぎの国」が「お金の使いすぎの国」を
あごで使う時代になることは
やがて事実が証明するようになるでしょう。
でも大切なことはそうなることではなくて、
そのプロセスに何が起るかということです。


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2011年12月17日(土)

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