中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4298回
自動車株はもう成長株ではありません

東北大震災とタイの大洪水で
日本の自動車メーカーが大減産におちいっていると
連日のニュースが報じていますが、
それならもし災害がなくて、
自動車メーカーの計画通りに生産ができていたら、
自動車の販売ははたして調子よく売れるものでしょうか。

かつての先進国だけでなく、
新興国にも自動車がとぶように売れるようになったので、
この数年、自動車メーカーはどこもホッと息をついていますが、
もし何かの調子で小型車の売り上げがとまって、
過剰生産が誰の目にもはっきり分かるようになったら、
はたして何が起るのでしょうか。

中国ではこの2、3年、自動車の生産が急増して、
どこの都市に行っても自動車の大洪水で
身動きができなくなっています。
ふえる自動車に道路の開発が追いつかないので、
渋滞を防ぐために、車の番号が奇数か偶数かによって
運転の曜日を決める都市もあれば、
新車の許可を制限して入札で購入を許可する都市も
あるようになりました。
入札の値段が自動車の値段をオーバーするという
珍光景も起っており、
北京に住む私の場合は毎日、車に乗って外出するために
車を2台用意させられています。

こんなところまで追い詰められたら、
自動車に乗るより地下鉄に乗った方が早く着くし、
大した用でもない時は外出はやめることになってしまいます。
それでも自動車株はまだ将来性があるのでしょうか。
中国には世界中の自動車メーカーが集まっているし、
中国で誕生した自動車メーカーもあわせると、
100社以上のメーカーがシェア争いをしています。
不動産なら売れ残っても時間がたてば
値上がりすることがありますが、
自動車は新車でも売り残ったら叩き売りの対象になります。

ですから10年前に高速道路と自動車メーカーの株を
成長株として推奨した私も
自動車ブームになってからは高速道路株はともかく、
自動車メーカー株は成長株からはずしてしまいました。
車が何十倍も売れるようになったのに、
自動車株は動かなくなってしまいましたね。


←前回記事へ

2011年12月16日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ