中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4302回
天然資源に優先する生活資源の不足

中国の産業開発は自国の市場よりも世界市場を優先させたので、
あッという間に「世界の工場」になってしまいました。
世界中から資本と技術を呼び込み、
それぞれの企業が目指す市場に向って売り込んだので、
国内市場の開拓よりも先ず
外国に物を売って外貨を貯め込むことになってしまいました。

外貨を稼ぐと経費を払うために
それに相当分の人民元を発行しなければなりません。
おかげで、かつての日本がそうであったように
人民元の大洪水になり、
過剰流動性で不動産の値上がりとインフレがまき起っています。
次はバブルの発生ということになりますが、
日本と違うところは、
日本では国内市場の開発の後に輸出の花盛りになったのですが、
中国では輸出による外貨稼ぎが先で、
ここへ来てやっと人手不足が顕在化してきたことです。

ですから輸出に多少の浮沈があっても、
人手不足による賃上げが国内の所得を増大させるので、
不動産のバブルがはじけても、所得の増大が続き、
消費は落ちないのです。
アメリカやヨーロッパの輸出が多少、落ちても、
デパートやスーパーの売り上げが逆に上昇して
不景気の様相が全く見られないのは、
こうしたお金の動きと関係があります。
もし内需の拡大が輸出の減少をカバーして
あまりあるようでしたら、
中国の景気は欧米の動きと違ったものになることが考えられます。

その中で最も目立つ変化は、
人民元の洪水による生活用品のインフレです。
私は当分、年に20%の賃上げが続くと見ていますが、
もしその通りなら国内消費の増大が景気を支えることが続きます。
従って国内消費の増大によって起る「資源不足は何か」が
工業生産の増大による「世界的な資源不足」に優先するというのが
私の最も関心のあるところです。
一番不足するのは人手ですが、人手不足の次は水不足で、
その次は生活のレベル・アップによる
食糧不足ということではないでしょうか。
株をやる人が一番気を使うべき分野だと思います。


←前回記事へ

2011年12月20日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ