中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4305回
人手不足は中国産業界の次のテーマ

今の中国で一番目立つのは何と言っても
不景気ではなくて人手不足です。
昨日まで工場で荷造りをしていた若者や
レストランで皿運びをしてくれていた女の子が
すぐにいなくなってしまいます。
日本と違って、中国では会社が従業員を大事に扱ってくれませんし、
従って会社に対する愛社精神も見られません。
日本のように組合をつくって、グループで賃上げを要求したり、
ストを起したりすることもありません。

その代わりにさっさと会社をやめます。
少し前まではやめても次の仕事が見つかりませんでしたが、
最近は経済が発展して、
いくらでも就職口があるようになったので、
賃上げを要求するよりも、新しい職場に移れば
給料がふえるようになったのです。
かつて日本でも起ったことが
形を変えて中国でも起るようになっています。

社会が一旦、そのレベルに達したら、
人手不足は顕在化して長続きします。
従って中国じゅうで人手を使う仕事に従事する人は
如何にして人手を集めるか、
また働いている人が辞めないようにするか、
そして最後は人手を使わないですむようにオートメ化するか、に
神経を集中する必要があるようになったのです。

私は中国で仕事をやるようになってから、
もうずっと前から人手不足に備えることを
担当役員に口添えしてきました。
そして、いよいよその時が到来したので、
次は如何にして自動化、機械化するかが
重要な仕事になると見ています。
オートメ化はかつて石油ショック後の日本の産業界の
最重要テーマになったので、日本は中国にとって大先輩です。
従って自動化ビジネスが日本が次に中国でやる
有望なビジネス分野になると私は見ています。

つい最近、中国の事業家たちを案内して
日本の食品メーカーの工場を見てまわりましたが、
無人工場の衛生設備の徹底ぶりを見て
皆舌を捲いて驚きの声をあげていました。
オートメ化は次の中国企業界にとって最大のテーマの1つであり、
成長産業でもあります。


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2011年12月23日(金)

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