中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4315回
銀行に並んだ預金者の行列が見えますか

お金がお札という紙っ切れになったからと言って、
どこの国の政府でも
勝手に紙幣を刷ることができるわけではありません。
円は日本銀行が発行していることになっていますが
日銀の総裁が勝手に印刷できるものではありません。
どこの国でもお札を印刷するためには
難しい色々な規制があります。

でも紙幣を印刷する権限はその国の政府にありますから、
政府がお金に困った時は、あれこれきびしい制約があると、
その制約をどうやってくぐり抜けるかを考えます。
ユーロのように紙幣の発行権が自分の国になくても、
その国が国債を発行して、
国債を売ってお金にかえることができれば、
お金を調達することができます。

どこの国の政府も、今は選挙で人事がきまりますから、
上に立つ人は選挙民のご機嫌をとります。
政府のお金は自分のお金でありませんから、
気前よくお金を使います。
気がついて見れば、莫大な借金の山になっているのが
今の政治制度です。
日本の場合は国債も直接、もしくは金融機関を通じて、
日本国民が買っていますから、
最終的には日本人が片づけることになりますが、
ユーロやドルの場合は世界中のお金によって賄われていますから、
国債が値下がりして金利が高くなると、
預金者から預かって国債を買っている銀行や投資会社は
お金が返せなくなって倒産に追い込まれてしましました。

ギリシャやイタリアの国債は、ヨーロッパの銀行だけでなく、
ユーロの他の国々の銀行やアジア、
日本の銀行もかかわっていますから、
その影響はヨーロッパだけでなく、世界中に及ぼします。
それが更にフランスやドイツの国債の金利にまで響くとなると、
アメリカの超一流の銀行でさえ
ひさしを傾けることになってしまいます。
国が傾く前に預金者のお金を預って
国債に投資して利鞘を稼いでいる銀行が
お金を預金者に返せなくなるのです。
テレビでヨーロッパの銀行の前で行列をしている光景を
ごらんになったことがありますか。


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2012年1月2日(月)

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