中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4314回
お年玉が只の紙っ切れになる日は近い

明けましておめでとうございます。
今年もどうぞ宜しく、と言いたいところですが、
今年はよく考えて、次々と起って来る出来事に
うまく対処して行かないと、
かなりしんどい目にあわされるのではないでしょうか。

昨年は東北大震災にはじまって、
アメリカの国債の格下げ、ユーロの金融不安と続いて
何ひとつ解決らしい解決に辿りつけず、
問題のくりこしをくりかえすだけで1年が経ってしまいました。
どれひとつ手にとって見ても解決の糸口は見つからず、
先延ばしにするだけですから、
いずれ収拾のつかない所に追い詰められることは目に見えています。

その原因はと言えば、金本位制を離脱して
アメリカがドルというペーパー・マネーで
代行させたことからはじまっていますが、
これだけペーパー・マネーの大洪水になったのも、
もとを言えば、国民のご機嫌をとらないと
政権の座につけないデモクラシーという
政治制度と関係があるのではないでしょうか。

君主制の独裁政治から三権分立の民主主義に移るについては
それなりの必然性がありましたが、
金本位制の通貨がペーパー・マネーに移るについても
それなりの理由とそれで間に合う条件がありました。
売買の仲介をするお金が黄金では
とても間に合わないスケールになったのと、
世界の通貨としてドルが通用するだけの
健全なアメリカ経済に誰も文句のつけようがなかったからです。

ほんの50年前まではペーパー・マネーが
それで立派に通用する通貨としての役割を
はたすことができたのです。
ところが、第一次石油ショックで、
アメリカが1バレル2ドルから
一挙に12ドルに大暴騰した中近東の石油に
ドルを印刷して買い向ったことから、
世界中にドルが溢れるようになり、
それに負けじとユーロをはじめ世界中の国々が
ペーパー・マネーを刷ったことが
世界中を紙っ切れのお金の大洪水にしてしまったのです。
さあ、いよいよそのツケが私たちのところへも廻って来たのです。


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2012年1月1日(日)

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