中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4330回
有名人になると揺さぶられます

香港中の取締り当局に訴えて
私から少しでもお金をゆさぶりとろうとした
日本人のならず者たちは全部で4人でしたが、
もう訴え出る先がなくなると、
今度は東京の地方裁判所に私を訴えました。
私は何回か裁判所に呼び出されましたが、
担当した判事さんたちが調べると、
私を訴えた連中はいずれも私の指導を受けてお金を儲けており、
中には2億円も3億円も儲けた人もいて、
どう考えても私が詐欺を働く立場にいないことを
理解してくれたので、本人たちに和解をすすめました。

もともと本人たちが申し込み金を払ったまま
中途半端になった物件とか、
本人が処分したい物件の後片づけが大半でしたから、
私が承知すれば、結着のつくことでした。
ふりかえって見れば、私が欲の皮を張って
発生したトラブルではなくて、人のためにやったことが
時勢の動きで本人たちに不利に働いただけのことです。
それを私に押しつけて片づける気を起したのも、
もとを言えば私を揺すれば
少しくらいは金貨が舞い落ちてくると思われただけのことでしょう。

私は人のお金を騙し取る人のように書かれ、
現在でも「邱永漢」という欄を叩くと
「家族ごと人を騙す人」と書かれていますが、
真相は金の顔を見ると、
目のくらむ人がこの世にはたくさんいるということです。
そのことがわかるのにかなり時間がかかってしまいましたが、
以来、邱友会でも自分の意見を述べることはあっても、
物件の世話をすることは一切やめてしまいました。

それでも株が下がると、
私のせいにして私の悪口の限りを吐く人は後を絶ちません。
そう言えば私が詐欺の仲間として訴えられた案件は
もう1つあります。
それはフィリピンのセブ島でゴルフ場を計画した人が
夜逃げをしたあと、訴える本人がいないために、
起工式にたまたま立ちあった私とゴルフ場の設計者が
そのとばっちりを受けて訴えられた時です。
考えてもいなかったことですが、
災難は思わぬ時にふりかかってくるものですね。


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2012年1月17日(火)

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