中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4331回
あとは悪言罵倒に耐えて生きるだけ

私は早とちりの方ですから、20何年も前に
今に日本中が老人だらけになって、
老人の面倒を見る人を外国から呼び寄せるよりも、
老人の方が外国へ面倒を見てもらいに行く時が必らず来る。
その候補地の1つとして
フィリピンのセブ島をとりあげたことがあります。

その時に知り合った人の一人が
セブ島でホテルを経営している日本人でした。
この人は藤椅子の工場の経営もしていたし、
フィリピン人の名前を借りて土地も手に入れ、
環境にふさわしいリゾート・ホテルをはじめたので、
私はお客がつくようにグループで何回も現地を訪れました。
本人は悪い人ではありませんが、
野心を実現するだけの能力が不足していたことになるでしょう。

ホテルに付随したゴルフ場をつくるために起工式をやった日に
私は仲間を連れてセブを訪問したので、
起工式のボールを打つ役割をやらされました。
そのあとの会員募集でパンフレットに
私の写真も載っていたのでしょう。
ところが、資金は思うように集まらなかったと見えて、
工事が完成する前に本人がホテルごとおっぽり出して
逐電してしまいました。
立往生した会員たちは弁護士に依頼して本人を訴えることになり、
私にも仲間に入るように勧誘してきました。
私が断わると、驚いたことに
私が会員募集をした側の加害者の一人として
起訴される側にまわされていたのです。

最終的に私は処罰される立場でないことが証明されましたが、
仕事をとるために担当弁護士がえげつのないやり方をする
これは典型的な例です。
でも裁判になると、有名人はジャーナリズムに注目されますから、
私はいつも加害者の仲間にランクされます。
いくら気をつけても、
頭が波からとび出した分だけ悪役の側にまわされてしまうのです。
もちろん、この時も無事息災で終わりましたが、
はたしてこれで悪役は終わりになるのか、
生きている限りまだ何の保証もありません。
それでもあとは悪言罵倒の対象ですめば
よしとしなければならないのでしょうか。


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2012年1月18日(水)

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