中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4333回
ことしは全体としてソフト・ランディングは無理

ことしは選挙によって
国のトップがたくさん入れ変わる時期に来ています。
そのほかにジャスミン革命とか、
内戦によって入れ変わる瀬戸際に立っている国々もあります。

国のトップが入れ変わったら、
その国の抱えている問題が片づくのなら、話は簡単ですが、
どこの国もトップが変わっただけで問題の片づく国は
1つもありません。
それどころか、国の抱えた借金を
先へくり延ばすことしか考えませんから、
最終的には借金が返せなくなって
デフォルト宣言でもやるよりほかなくなります。
それでも早い遅いの違いはありますから、
先に破産したり、ユーロから脱退した国が
どんな目にあうかを見る若干の余裕のある国もあります。

日本はどちらかと言うと、ユーロの国々で起ることを見てから、
対処のできる位置にありますから、
いきなり銀行の前に
預金の払い出しの行列ができることにはならないでしょう。
その代わりギリシャやイタリアでことしか、
来年に起ることが飛び火して
日本でも金融界の大火事になったら、
払うお金が銀行にないことは目に見えていますから、
一騒動ないという保証はありません。
先進国である分だけ日本はヨーロッパやアメリカに近いのです。

ならば、外貨を山のように積み上げた中国なら大丈夫かというと、
外貨を積み上げた分だけ
国内の人民元を増刷発行していますから、
人民元の洪水は先進国に負けません。
それらのお金に使い途をつけるために
地方の都市化と不動産投資を進めてきたので、
返済能力のない人にマンションを買う資金を
大量に提供してきました。
アメリカでリーマン・ショックを惹き起したケースと
寸分違わないバブルを惹き起す寸前まで来ているのです。
ことしはトップ交替のシーズンを控えているので、
多くの問題は来年まで先送りになると私は見ていますが、
それでもソフト・ランディングというわけには
行かないのではないでしょうか。


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2012年1月20日(金)

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