中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4334回
日本で起ったことは中国でも起る

日本でも大蔵省と日銀が口を揃えて、
「今後不動産には一切融資しません」と宣言した時は
「これで不動産投資にストップがかかる」
と信じ込んだ人は先ずありませんでした。
土地神話は1億人の頭の中に沁み込んで、
しっかり根を下ろしていたし、
政府が方針を変えたくらいのことで、
日本の経済成長がとまると思う人はいなかったのです。

あとで考えて見ると、
それは日本の成長経済に転換期が来たからであって、
不動産ブームにストップがかかったわけではないのです。
銀行から元利の返済を迫られた企業も
持株の処分からはじめましたが、1年たっても2年たっても
不動産がビクとも動かないことに気づいて、
やむなく不動産の値引きに応じた時は、
日本国中で不動産の買いにまわる人は
全くいなくなってしまったのです。
そのために不動産が高値から10分の1にまで下がり、
それでも資金の回収ができないために、
金融機関の倒産がはじまったことは、
皆さんがご覧になってきた通りです。

いまの中国の経済環境はその当時の日本によく似ています。
違うのは日本の銀行が民間企業だったのに対して、
中国はほとんどが国有銀行だということです。
不動産が反落して借入金より下値になっても、
はたして債務者は借金の返済を続けるものでしょうか。

さしあたり不動産業者は借金返済のために
不動産の投げ売りに出るでしょう。
売り一辺倒になれば、業界は混乱し、
銀行は不良債権で身動きができなくなります。
預金者が預金の払い戻しに出れば、銀行は立往生です。
でも中国の銀行は国営ですから、
必要な分だけ人民元を印刷してそれに応ずるのでしょうか。

そのへんのところは私にもわかりませんが、
人民銀行のトップならわかるのでしょうか。
起ってからのことだというなら、
「君子危うきに近づかず」が最良の対策だということになります。
まだそこに達するまでに少し時間があります。


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2012年1月21日(土)

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