中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4338回
食品行政を一歩間違えたら大変な事に

この1年間に、中国政府から一番目の敵にされたのは
不動産と食料品の値上がりでした。
もともとの原因は輸出の大幅黒字による
過剰流動性に端を発しているのですが、
人民元を切り上げて輸出にストップをかけると
輸出産業にブレーキがかかることを怖れて、
人民元がふえ続けるのを放置してきたのです。

その一方でインフレを抑えるために、
先ず銀行の貸出しにあれこれ制限を加えて住宅ローンを抑えたり、
企業に投機資金がふえることを怖れて
銀行からの貸し出しをきびしく抑えたので、
ずっと値上がりを続けてきた不動産が先ず値下がりに転じました。

政府では不動産の値上がりが鎮静化したと報道していますが、
全国的に続いた不動産ブームが漸く天井を打って、
かつて日本でも起ったような
バブルの崩壊に向っていると私は見ています。
さもなければ、全国大都市の郊外に林立したマンション群に
居住者の姿が見当らず、夜も電燈がついていないわけがありません。
ことしは総統が入れ替わる年でもあり、
極端なピンチは避けるのが常識ですから、
本格的なバブルの崩壊は来年まで
くり越しになるのではないかと見ています。

それに対して食料品の値上がりは庶民の生活に響き、
怨恨の的になるので、お役人たちも極端に神経質になって、
値段を抑えにかかるだけでなく、
期限切れの食品をうっかり並べていた外国のスーパーにさえ
びっくりするような罰金を課しました。
また食品の中で最も重視される豚肉が
あッという間に5割も値上がりすると、
年に3000万頭も屠殺する中国一の雨潤食品に難癖をつけて、
株価が30ドルから一挙に10ドルまで
大暴落させるような目にあわせたことは
株をやっている人なら誰でも知らない人はいない出来事です。
蒙牛も他の粉ミルク業者も、
そして、野菜業者も例外ではありません。
こんなことを続けたら、
そのうちに食料品が市場やらスーパーから
姿を消すのではないかと心配になってしまいます。


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2012年1月25日(水)

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