中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4339回
野菜に対する増値税は新年から免除

食料品の値上がりで
中国の当局から一番目の敵にされたのは多分、豚肉でしょう。
その代表格である雨潤食品が槍玉にあげられて
株価があッという間に3分の1にまで値下がりしましたが、
それに劣らぬひどい目にあわされたのは野菜を扱う業者でしょう。

生鮮野菜を扱う上場企業としては
超大現代と緑色食品の2社が一番よく知られていますが、
それに食品の卸売りで名の売れた亨泰が新しく加わって、
3社が大規模農業の上場会社になっています。
いずれも利益率の高い商売をやっており、
計上益が売り上げの3割から5割を占めているので、
日本の上場会社の計上益を見なれている私は
思わず眉に唾をつけてしまいましたが、
一社一社訪れて現場の責任者に根掘り葉掘り問いただすと、
粉飾決済では決してないのです。
おかげで将来の食糧不足も勘定に入れて、
私自身が大規模農業に注目するようになり、
個人的には亨泰の経営陣と親交があるようになりました。

亨泰だけでも3つの農場を経営しており、
合わせて1000万坪の面積を占めるようになっています。
農業のことですから少々時間がかかる覚悟をしていましたが、
昨年中だけでも政府の干渉が目立ってきびしくなったことが
何回も耳に入るようになりました。
その上、亨泰は生鮮野菜を輸入している泰国で
洪水が発生しているので、
遂に昨年下半期は業績が悪化したことが事前に発表されています。

しかし、株価が大下がりに下がっているのは亨泰だけではなく、
他の2社も高値から半額どころの値下がりではありませんから、
業界全体がかなり痛めつけられていることは
ちょっと敏感な人ならすぐに気がつきます。
こんなことが続いて野菜を植えている人たちが
やる気を失ったらどうする積りかと気を揉んでいたら、
年の暮れになっていきなり、
「新年から野菜に対する増値税は全面的に免除する」
という発表がありました。
役人たちがこんな思い切った政策がとれるとは
夢にも思っていなかったので、
今度は私の方がびっくり仰天しているところです。


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2012年1月26日(木)

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