中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4344回
人をたくさん使う仕事を工夫できますか

いまヨーロッパもアメリカも
お金の使いすぎでピンチにおち入っています。
反対に合理化がすすみすぎて、仕事がなくなり、
失業者がふえて困っています。
日本もアジアでは一番早く先進国の仲間入りをしたので、
同じ問題を抱えて頭を痛めています。

ですから製品のコスト・ダウンをするために
もっと労賃が安くてすむ新興国へ工場の大移動をやっていますが、
資本と設備と技術は大移動できても、
人間はそのまま残っているので、お金の使いすぎはとまらないし、
失業を減らすことにもなっていません。

ですから先進国にいま必要なことは、
国の支出を減らすことと失業者を減らすことです。
かつて豊作貧乏は農業に起ったことですが、
農業の豊作貧乏は飢饉に出会うと逆転して餓死者を出します。
ところが、工業社会に豊作貧乏が発生すると、
同業者が倒産してバランスがとれるまで倒産が続きます。
そして、その分だけ失業者もふえ続けます。

これが先進国にもたらされた新しいピンチですが、
こうした矛盾に対して効果的な対策は
いまのところまだ発明されておりません。
でもどうしてもそれが必要なところまで
私たちは追い込まれているのではないでしょうか。

たとえば、国の浪費にストップをかける必要があれば、
増税のしにくい制度をつくる必要があります。
また失業を減らしたいと思えば、
人をたくさん使う仕事を工夫する必要があります。
人を減らすどころか、逆にふやさないと
採算に乗らないビジネスを工夫する必要があるのです。
失業は今後、ふえる方向にあるのですから、
失業者をうまく使ってお金になるビジネスはないものでしょうか。

そんなバカなことを考える奴があるかと
一笑に付する人はあっても、
本当にそうだねと腰をすえる人は滅多にいないでしょう。
でも失業者を集めてうまくやる仕事を考えるところまで
日本の国は来ているのです。
本当にそう思いませんか。


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2012年1月31日(火)

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