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第4343
台湾の選挙は中国にとっては大きなお手本

台湾の総統選挙は国民党の馬英九が
民進党の蔡英文を約80万票の差で、再選されましたが、
たった80万票の差しかなかったことは注目に値します。
というのも、大陸に働きに来ている台湾人
(戦後、大陸から渡った外省人も含めてですが)が
投票のために20万人も台湾に帰っていますが、
その人たちが国民党に投票することを期待して、
中国政府は往復切符を半額も割引しています。

かつて犬猿の仲で、お互いに口もきかなかった共産党が
国民党を勝たせたいばかりに、
交通費の優遇措置に出たのですから、
時代と共に物の考え方が天と地ほども変わるのです。
思想犯になったりするのが如何に割りに合わないことか
改めて痛感されます。

そういう移り変わりも勘定に入れると、
台湾には中国との親交に反対する勢力が半分以上もあって、
それでも平穏無事に選挙が行われていることが
台湾の人たちだけでなく、
選挙戦をテレビやパソコンで見ている大陸の人たちにも
あまねく知れわたりました。
そういう大陸と台湾の違いを
まざまざと見せつけられた大陸の人たちが
はたしてどういう感想を持っているか、
わざわざきく人もいないでしょうが、
まともに答える人も先ずいないでしょう。

でも、中国の経済がもっと発展し、人々がもっと豊かになって、
もっと自由に物を考えるようになったら、
大陸でもこのままでいいと思う人は
いなくなるのではないでしょうか。
それがアメリカや日本並みの体制に
変わることにはならないとしても、
中国人に多くのヒントをあたえることは先ず間違いありません。

そういった意味で真っ先に起るのは
政治体制よりも官僚専制の崩壊、
とりあえずは汚職に対する制裁が
一段ときびしくなることではないでしょうか。
バブルがはじけることと
威張り散らす役人気風が一変することについては、
どちらも台湾が中国の大先輩なので、
今回の台湾の選挙は大陸の人たちにとっても
大へん役に立っているのではないでしょうか。


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2012年1月30日(月)

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