中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4347回
テレビの広告に見習う必要があるのでは?

日本は企業が次々と海外へ移動していますから、
その分だけ仕事が減り、人がありあまる方向にあります。
ぼんやりしていると、失業してしまいますから、
国としては人をたくさん使う仕事をふやす必要があります。

そんな仕事があるかとおっしゃるかも知れませんが、
それがあるのです。
テレビの前に座ってよくご覧になって下さい。
テレビ局はスポンサーから莫大な広告料をもらっていますが、
番組の制作会社には雀の涙ほどの制作料しか払っていません。
一説によると、広告料は1億円もらって、
製作費は800万円という番組も珍しくないそうです。

あとは広告の製作費ですが、
少し前までは有名俳優さんや野球選手を使うのに
かなりの出演料を払っていました。
最近はそれを節約するために、
無名のイケメンや女優の卵を使っていますが、
一人だけでは誤魔化しがきかないので、3人も5人も、
それでも足りない場合は束にしてスクリーンに出しています。
何しろ一人一人の品定めが終らないうちに
画面が変わってしまうので、
広告そのものも何の広告かわからないうちに終わってしまい、
人はたくさん使うけれど
製作費はうんと安くてすむように工夫しています。
何の役にも立たない人ばかり使うので
経費の節約にはなっているのです。

また番組の方も、
もう盛りをすぎた元タレントを引張りだして、
温泉場やレストランを長々とめぐらせたり、
料理をつくったり食べさせたりして時間稼ぎをやるので、
製作費の節約にはなっていますが、
視聴者からはそっぽを向かれています。
テレビの場合は安あがりのタレントを動員することによって、
コストダウンをはかることはできますが、
広告の目的をはたしているかどうかは別として、
コストダウンの目標は一応、達していることになります。

こんな仕事のやり方がはたして
これからの日本にいくらでもあるかどうかは
保証の限りではありません。
でも一番はしっこいテレビ局が率先して手がけていることですから、
日本国中がそれに見習う必要があるのではないでしょうか。


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2012年2月3日(金)

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