中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4361回
大企業の統合再編成がはじまったわけ

ずっと円高が続いて、
国内で生産して輸出しても採算に乗らなくなったので、
国内工場を片づけて海外進出する輸出産業がふえ続けています。
そうすることによって業績を恢復し利益をあげることができれば、
利益も税収もそれほど変わりませんから、
株主は国内に住んでいてもさして心配はありません。

但し企業が次々と海外に移動すると、
事業について海外に動く日本人は1%か2%にすぎませんから、
大半の人が職を失ってしまいます。
国内でたくさんの人を使い新規の仕事をつくり出さない限り、
日本は失業者の国になることは前にも申し上げた通りです。

その上、最近目立っていることは、
日本で1、2を争うような大企業が
何かと言うと合併に動きはじめたことです。
業界で1位の企業が3位や4位の同業社を合併することもあれば、
2位、3位の企業が合併して1位にのりあがるケースもあります。

どうしてそんなことが起るのかと
首をかしげる人もいると思いますが、
一口で言うと業界で不動の地位にいる企業でも、
これだけ世界中で同業者がふえると、
自信を失ってより安定した対応はできないかと
思案するようになるからです。
銀行が真っ先に統合再編成しましたが、
今や製鉄会社から家電会社から
さては、百貨店、スーパー、コンビニに至るまで
合併、買収、再編成の動きは絶えません。

それだけ世間の変化が激しいと言っても間違いありませんが、
企業の寿命が短命化したと言ってもいいでしょう。
人の生命は長くなったのに、
企業の寿命は逆に縮まってしまったのです。
その理由は何かというと、
かつて農業を左右してきた豊作貧乏が
工業を左右するようになったからではないでしょうか。
熾烈な競争がアメリカの自動車メーカーを
倒産まで追い込みましたが、
追い込んだ日本の自動車メーカーだって、
いつ同じ運命を辿るかわかりません。
倒産するまで生産を続けるのが工業社会の豊作貧乏ですから。


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2012年2月17日(金)

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