中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4369回
企業の寿命は短命化する方向に

電機業界の大赤字が一せいに勢揃いをしてしまいました。
パナソニックが7800億円、シャープが2900億円、
ソニーが2200億円、NECが1000億円ということになると、
ただでさえ大赤字の財政収入が更に一段と落ち込んで、
日本の国がどうなるのかと不安になってしまいます。

財政は一応、別のこととして、
日本の電機業界ははたしてどうなるのか、
更に自動車業界はどうなるのかとその後に続きます。
空前の円高とユーロに端を発した世界的な金融不安が
日本の産業界を痛めつけていることは衆知の事実ですが、
日本を豊かにしてきた日本の産業界が
国内生産ではやって行けなくなると、
毎日の新聞の報道を見てもわかるように
次々と海外に移転をしはじめています。
その度に国内の失業がふえることになりますから、
国内所得は減る一方です。
その見返りに海外からの配当金がふえると新聞は報じていますが、
国内であげる利益の3分の1もあるわけではありません。
失業による減益が更にふえるのですから
手離しで安心しているわけには行かないのです。

その上、電機業界の動向が世界的に見て
どこでどう恢復するかということになると、
家電やテレビだけでなく、
インターネットの動きに大きく左右されます。
今後もなお成長が続くとしても、
工業社会の世界的な競争は、農業の豊作貧乏と違って、
どっちが破産するかまで続くのですから、
業界全体にはたしてどれだけのビジネス・チャンスがあるかに
大きく左右されます。

造船業やカメラ業界、フィルム業界だって見る影もないのですから、
次々と技術革命が起って新製品にとってかわられない限り、
工業製品の寿命は農作物より遙かに短いのではないでしょうか。
戦後、企業の寿命は30年と言われていましたが、
インターネットのスピードがあがった分だけ
更に縮まるのではないでしょうか。
これからの工業の豊作貧乏は大へんなんですよ。


←前回記事へ

2012年2月25日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ