中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4384回
中国の経営者は常にオーナーです

中国の上場会社は大雑把に分けると、国営と民営に分かれます。
開放政策が実施される前はすべての企業が国営でしたが、
鄧小平が社会主義市場経済に踏み切ってから、
民営企業が輩出するようになりました。

上海と深圳で証券取引所がオープンされた当初は
民営企業はほとんどありませんでしたから、
国営企業が衣替えをして株式会社として上場するのが大半でした。
銀行とか石油会社とか製鉄会社とか、
これまでは人民の上に君臨していた企業が
天下りをしただけですから、
役員の任命権は当然、政府にあり、
当然のことながら、政府の方を向いて
上司の顔色を伺う人たちによって経営されていました。
いまも国営企業には同じポーズが続いていると言ってよいでしょう。

でもそうした中から民営事業が次々と新しく誕生し、
その中から上場の資格を持った企業が
上場企業の仲間入りをするようになりました。
これらの民間企業は株主総会で人事を決定しますから、
経営陣が株の過半数を支配している必要があります。
日本のように大株主が経営を会社の役員に信託するのではなくて、
過半数の株を支配していなければ、すぐにも経営権を奪われるので、
董事長一族が株の過半数を支配しているか、
大株主に信任されている人が董事長に任命されることになります。
中国株にも機関投資家の大株主がありますが、
機関投資家は安定株主ではありませんから、
董事長は常に株主総会で過半数の票を握っている必要があるのです。

ですから、中国株の場合は、経営者の能力や人格が
企業の業績や株価を大きく左右すると考えて先ず間違いないでしょう。
日本のように零細株主でも出席のできる株主大会はありませんが、
独裁権のある経営者によって運営されているわけですから、
有望な業種であるかどうかのほかに、
経営者が株主の利益を考慮する人であるかどうかが
株価を大きく左右することになります。


←前回記事へ

2012年3月11日(日)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ