中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4396回
地方に生き残った企業が次の成長産業

高度成長が続いている間、
日本でも人手不足を解決するために地方都市に工場をつくったり、
下請工場をつくる大企業がふえました。
そうした地方の発展を見込んで
郊外に大型スーパーやショッピング・センターをつくる動きも出て、
一時期、地方がブームになったことは
皆さんもごらんになった通りです。

でも日本の人件費が高騰したことと
円高によって産業の海外移転が大きな流れになったので、
少しずつですが、地方で工場を閉める動きが出はじめ、
気がついたら地方都市がピンチに落ち入るようになりました。
私はそうした動きに敏感な方ですから、
早くから地方都市で店を持った人や働いている若者に都会へ動くか、
思い切って海外に行くことをすすめましたが、
そんなことのできる人は10人に1人もおりません。

従って時間がたつと、
地方の商売は少しずつ衰えはじめて、
10年たち、20年たつうちに銀行やデパートでさえも
シャッターをおろすようになってしまいました。
地元産業だって成り立たなくなる店が次々と廃業して、
若者たちは生まれ故郷にいなくなってしまいました。

それで「一巻の終わり」と言いたいところですが、
地方で企業をやっている人の中には生き残るために
必死の努力をしている人が1つの町に2人や3人はいるものです。
そういう人たちは、それが家業だった人もあれば、
新しい業種に移った人もあります。
たまたま経営の才能のある人がそうした努力をすると、
地方にいても東京や大阪にいる企業家たちに
負けないだけの実績をあげることができるのです。
私たちが今、北京で間に合わないくらい注文のある
90日もつ熟成パンだって、
日本の片田舎ではじまったものだし、
オートメできのこをつくるビジネスだって
また使い捨ておむつを発売した人だって
東京の人が考えたものではありません。
都会の企業家と競争しても
負けないだけの実績をあげている企業家が
日本の地方で開発したものなのです。


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2012年3月23日(金)

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