中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4426回
ハヤる店はすぐコピーされます

レストランはお客で賑わっている店でもそう長続きはしません。
繁盛しているとわかったら、真似をする店が山ほど現れるからです。

中国にまだ食べ放題のレストランがなかった頃、
私は東京の花正に教えてもらって、
新しく建てた成都の伊藤ヨーカ堂の5階に、
50元で食べ放題の焼肉屋を開業したことがあります。
珍しかったせいもあって
食事時になると行列ができて大繁盛でしたが、
しばらくすると行列どころか、
入る人もまばらになってしまいました。
どうしてかというと、周囲に同じような店が10軒もできて、
どの店も40元食べ放題でやりましたから、
お客というお客を奪われてしまったのです。

やむを得ず、こちらも40元に値下げしたら、
少しはお客が戻ってきましたが、
利潤は差額の10元のところにありましたから、
とうとう根負けして店じまいをしたことがあります。

あれから10年ほどたって隣接して伊勢丹を建てたので、
もう一度、「牛々福」という焼肉屋を
再開するところまでこぎつけました。
日本生まれの韓国の青年が采配をふるってくれたので、
私は先ず「一人当り50元からスタートすること」と、
「しょっちゅう工夫をしていつもお客から新しがられること」
を念頭において下さいと頼みました。

店がきれいで新鮮だったせいもあって、
いつも行列ができる店になりましたが、
私たちが店びらきをしたのを見て次々と真似をする焼肉屋が誕生し、
成都中合わせて8軒しかなかった焼肉屋が
いまでは何と400軒にもふえてしまいました。

これでは競争に勝つのも容易なことではありませんが、
「いつも来る度に新しい工夫の跡が見える店」
を心がけているおかげで、客足がおちずに
イースターになると夜の11時までお客が並ぶ光景が続いています。
いくら真似をされても来る度に新鮮さを感じてもらえることが
店の老齢化を防いでくれているようです。
一番大切なことは店のアンチ・エイジングですね。





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2012年4月22日(日)

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