中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4427回
短くなった事業の寿命

以上述べて来たことでおわかりいただけたと思います。
ほとんどのレストランが毎日若返えりに努力することは
先ずありませんので、早い遅いの違いはあっても、
やがて店じまいをすることは避けられなくなります。

ミシュランの案内書を見てもわかることですが、
どんな天下の名店でも永遠に3つ星を維持して行くことはできません。
日本を代表するような日本料理店だって、
いつかは名料理人がいなくなってしまうので、
ノレンが下りてしまう時が来ます。

もちろん、それでもかまいません。
またその次の名料理人が現われ、次の有名店が現われるのですから。
しかし、ビジネスとしてレストランの経営をするということになると、
別の視点からレストラン業者を検討する必要があります。
社会全体が豊かになったおかげで、食べ物のレベルも上昇したし、
外食をする人も多くなりました。
従ってレストラン業も大規模化して
上場する会社も珍しくなくなりましたが、
レストラン業は長続きしないということになると、
鉄をつくったり、家をつくったりする商売とは
わけが違うということになります。

しかし、寿命が短いのは何もレストランとは限りません。
テレビをつくっている電気メーカーだって
存亡の瀬戸際に立たされているのですから、
いま頂上をきわめている携帯電話やiPadのメーカーだって
同じ運命を辿るかわかったものではありません。
はっきりわかっていることは産業界のどの分野でも
企業にはそれぞれの寿命があるということです。
人間の寿命は延びる方向にあるというのに、
産業の寿命は逆に縮まる方向に動いています。
少し前までは1年に1つの仕事を見つければいいと思っていたのが、
うっかりすると3回も仕事を変わらなければ
一生が終わらない時代になってしまったのです。
レストランだったら10回変わっても間に合わないかも知れませんが。





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2012年4月23日(月)

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