中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4430
なぜ中国の町は銀行だらけなのか

中国の街を歩いていて一番目立つのは
何と言っても銀行の支店の多いことでしょう。
銀行の支店についで多いのがレストラン、
レストランの次に多いのはホテルじゃないでしょうか。

共産国家になってからの銀行はすべて国営になってしまったので、
どこの支店も実はほとんどが国営です。
どうして銀行がそんなにたくさんあるかというと、
中国人は大抵の人が金で金を儲けることに熱心で、
お金をそのための道具と心得ているからです。
ですから少しお金があるようになると、
かなりきわどいビジネスにも平気で手を出すし、
賭事が盛んで、
マカオの賭博場が大繁盛しているのを見てもわかります。
中国人は汗水垂らして稼いだお金でも
平気で博打の資金にまわします。
ですからお金を銀行に預けるよりも、
銀行からお金を借りて一かバチかに賭ける方に熱心なのです。

日本人はそれと反対に根が職人気質ですから物づくりに熱心で、
汗水垂らしてお金を稼ぐと、
稼いだお金を銀行に持って行って遊ばせ、
自分は職場に戻ってまた汗を流す仕事に励みます。
じゃどちらが稼ぐかと言うと、
物をつくって生み出した儲けは付加価値ですから
その分、豊かになりますが、
お金で稼ぐお金は他人の持っているお金ですから、
「甲の得は乙の損」ということになります。

ですから、いくら銀行がふえても、
それによって社会が豊かになることはありません。
しかもそうやって稼ぎ出したお金で
レストランやホテルを経営しても
社会の富がふえる方向に向うわけではないのです。

そうした傾向の強い中国で、外国の資本と技術を迎え入れて
輸出をして稼いだお金で土地を買いまくったので、
土地はベラボーに値上がりしましたが、
土地が大きくなったわけではありません。
その土地の値上がりで大金を儲けた人たちが次に考えたのが
ショッピング・センターとホテルで、
その次が百貨店とスーパーです。
お金でお金を儲ける性癖はそう簡単にはなおらないものなんですね。
自分は働いてお金を遊ばせる日本人の職人気質も、そうですが。





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2012年4月26日(木)

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