知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第2回
特許になるということ

夜のお付き合いの席などで、
「ねえねえ、中村さん。
この間、ちょっと面白いアイデア思いついたんだけど・・・。
これって特許になるかな?」
と質問されることがたまにあります。
歓談の場ですし、
ご本人も話題の一つとして話してみたという程度で、
別に特許を取得しようとは思われていないケースが多いようです
(念のため申し上げておきますが、
本気で特許を取得しようとされる場合には、
決して特許出願前に第三者に披露されないようにご注意下さい)。

それで、どんな発明が特許になるかという話ですが、
一般的には、法上の発明であること、
産業上の利用可能性があること、新規であること、
技術的な進歩性があること、公序良俗に違反しないこと
といった、いわゆる特許要件が挙げられ、
ものの本には以上のような流れで説明されています。

しかし、私たちは、最初にこの点を
もう少し根本的に捉え直しておいた方がよいと思います。
つまり、少なくとも日本においては、
しかるべき要件をクリアしたから特許します、
あるいは特許を付与するに値するような優れた発明だから
特許査定にしますという理屈にはなっていないのです。
我が国において特許査定処分を受けると、
その査定の謄本には、次の1行が記載されているだけです。

「この出願については、拒絶の理由を発見しないから、
特許査定する。」

私は仕事で初めてこの1行を見たとき、
達成感を挫かれて愕然としたのを今でも覚えています。
なぜなら、その出願を特許にするために、
長期間に渡って幾つもの拒絶理由通知を乗り越えて
やっとたどり着いたゴールであったはずでしたので。
にもかかわらず、審査官のスタンスとしては、
出願された発明の価値を認めたらから特許にしたのではなく、
拒絶になりそうな理由を一通り検討してみたが
どうにも見当たらないようなので、
(一応)特許としておくという立場なのです。

そして、その拒絶理由が列挙されているのが、
特許法第49条の各号です。
ここに、さきほど申し上げた
新規性や進歩性の要件が掲げられています。

最初から少し込み入った話になってしまいましたが、
日本の審査がどのようなものかを考える上では
是非とも押さえておいて頂きたいところです。


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2007年8月23日(木)

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