知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第10回
「(R)」とかTMって、どんな意味があるのでしょうか?

商品のパッケージなどを見ると、
文字の右隅に「(R)」や「TM」が記載されているのを
よく目にします。
勘の良い方は、「(R)」は、”Registration”の略で、
「TM」は、”Trademark”の略だろうとお察しになるでしょう。
意味としてはその通りです。

しかし、これら「(R)」や「TM」は、
何れも日本の商標法の定めに従った表記ではないのです。
実は、米国商標法上の取り決めなのです。

まず、「(R)」は、日本では「マルアール」などと呼ばれますが、
米国特許商標庁に登録された商標であることの注記です。
この表示がない場合には、たとえ登録商標を使用していても、
商標としての使用と見なされず、
言い換えれば、商標権者が
「(R)」注記のない登録商標を使用した他人に
損害賠償を請求しようとしても、裁判所では認められません。

次に、「TM」は、未登録商標の意味です。
ですから、「TM」を使用する者の気持ちとしては、
「まだ登録されていないので『(R)』表記はできないが、
自分は商標としての使用をしているんだぞ」という
意思表示といえます。
「TM」の表記を目にされた場合には、
商標登録出願中か、
又はこれから出願の意思があると見てよいと思います。
ちなみに、登録されていない商標に「(R)」を付することは
米国では認められていません。

日本における登録商標表示は、
正式には「登録商標」の文字と
登録番号との組み合わせで表記します。
例えば、「登録商標第123456号」といった具合です。
日本の商標の場合には、
米国と違って商標登録表示がなければ
差止請求や損害賠償請求が認められないという決まりはありません。

近年、国内でも「(R)」表記がよく見られるのは、
例えばグローバルに事業を展開する
米国の製品が輸入されてきた場合のほか、
日本企業が国内製品に対してもこれを使用することよって、
「これは我が社の登録商標です!気安く使用しないでください!」
というメッセージをごく簡潔に込める意図があるものと思われます。
グローバルな取引実情を考慮した工夫と言えるでしょう。


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2007年9月11日(火)

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