知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第18回
発明は現場で生まれます

前回の特許発明「たこ焼き」のご紹介で
少し強調したつもりなのですが、
発明が特許になる基準は絶対的なものではありませんし、
主観的な目で評価することも禁物です。
私は、このたこ焼き発明を知った当時、
発明者に対する他意は全くないのですが、
「えっ、なんでこんな簡単な内容で特許になるの?」
と思ってしまいました。
当時、自分がデータ圧縮や
高度な画像処理に関するソフトウェア技術開発をやっていた中で
特許出願が半ばノルマになっていましたので、
「特許発明=高度な技術」
という先入観が植わってしまっていたのです。
ですから、頭では
シンプルな発明でも優良発明になり得るということが理解できても、
その実践となると却って難しく感じていたように記憶しています。

さて、発明とは、
成そうとして成せるものとは限らないかも知れません。
つまり、発明そのものを意識しようとしても、
結局どうしてよいか分からなくなることが多いと思います。
むしろ、普段のお仕事でご自分がぶち当たる課題や困難があって、
それらを苦労されて乗り越えられたときに、
その課題と解決との間に発明があるとお考えになると、
より発明を捉えやすくなるのではないかと思います。
つまり、その課題を解決できたのは、
どのような解決手段を用いたからかという目で振り返られたときに、
そこに立派な発明が現れることが多いのです。
もちろん、企業の中央研究所などに身を置かれ、
理論ベースの研究をなさって
特許発明されるというケースもあります。
しかし、私がもう少しだけ強調したいのは、
「優れた発明は、現場でこそ生まれる」
ということなのです。

前回のたこ焼き発明について検討しますと、
きっと発明者の方(関西人と思いますが)には、
日頃からたこ焼きに対する不満があったのだと思います。
「美味しくて大好きなんだけど、
もう少し若い女性にも受け入れられやすい、
おしゃれなたこ焼きはできないものか」と。
そこで「桜海老」という、
当時ちょっと意外な組み合わせを思いつかれたのです。
そうして、出来上がったものは、
見るも美しく淡いピンクに染まったたこ焼き(想像)です。
しかも、桜海老を使用していますから、
風味も一層増したという
付随的な効果を奏することにも成功しました。
これらが、出願当時の他の先行技術との関係で、
「拒絶理由なし」と判断されたのだと推察します。

以前ご紹介した
テレホンカードの考案についても同じことが言えそうです。
そして、皆さんの日常取り組まれているお仕事の中にも、
きっと優れた発明が眠っているはずです。


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2007年9月29日(土)

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