| 第17回なんと『たこ焼き』も特許になります!
 これはその昔、妻から教えられて驚嘆した特許なのですが、皆さんにご紹介したいと思います。
 私のように、発明をする側の技術者時代も含めて、
 長年専門家としてやっていますと、
 こうした素人の着想には正直言って驚きを隠せ得ません。
 その特許は、特許第2700393号で、発明の名称は「たこ焼き」です。昭和63年に出願され、平成9年に登録されています。
 本権利は抹消されていないようで、
 2008年9月2日まで権利期間があります。
 権利内容としての特許請求の範囲は次の通りです。
 【請求項1】溶いた小麦粉にたこおよび薬味を入れ焼いて得られる
 たこ焼きにおいて、前記溶いた小麦粉中に桜海老の粉末が
 小麦粉に対して3〜7重量%の割合で混合されていることを
 特徴とするたこ焼き。
 たこ焼きそのものは、昔から関西を中心に人気のある食べ物ですし、昭和の終わりに出願して登録されるというのは、
 私にとっては驚きでした。
 そして、発明の内容も、どうやら従来のたこ焼きの生地に
 桜海老の粉末を一定量混入するといった、一見シンプルな構成です
 (「たこ焼き」と「桜海老」を
 直ぐに結び付けられるかどうかは別として)。
 実用新案の考案より高度の技術水準を必要とされる発明として
 特許になった理由は何か、
 そもそも何を目的として発明されたのか、
 明細書を読んで見ますと、
 「従来、たこ焼きは、焦げ目が付くとともに
 やや黄色ががった色をし、その上にソースを塗布しており、
 色彩性に乏しいものであるが、
 近頃の若い女性は、ファッション性を重視するため、
 色彩感覚の豊かなたこ焼きが望まれていた。
 (中略)この発明は、このような事情に鑑みて、
 ファッション性に富む、
 しかも美味なたこ焼きを提供することを目的とする」
 とあります。
 そうして上記構成のたこ焼きの提供となったわけですが、この発明により、
 「焼き上がれば、綺麗なピンク色になり、
 ファッション性に富んだものとなる。
 しかも、海老のエキスが全体に均一に分布して
 非常に美味しいものとなる」
 との効果が記されています。
 明細書も全体で1ページ半であり、
 特許公報としては最も少ない記載量と思います。
 第2回でも申しましたが、この特許出願にも「この出願については、
 拒絶の理由を発見しないから、特許査定する。」
 との査定謄本が送られてきているのです。
 それにしてもこのたこ焼き、一度食べてみたい気がします。
 一応、私も関西人ですので(笑)。
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