知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第19回
レシピを使って発明の練習です

これまで、あえて「特許請求の範囲(クレーム)」のサンプルを
いくつか例示してきました。
特許に全く馴染みのなかった方には、
戸惑いがあったかもしれません。
しかし、発明とか特許権についてのお話をする際には
避けては通れない大事なところですので、
是非この機会に抵抗感を減らしていただければと思います。

そこで、というのもなんですが、
今回は「たこ焼き」発明にヒントを得て、
特許クレームを料理のレシピに例える試みを実施します。
このコラムを読まれる方はグルメでもいらっしゃるでしょうから、
きっと馴染んでいただけるのではないかと期待しています。
ここでは、「方法の発明」を取り上げます。

まず、レシピのサンプルですが、
試しに「フレンチトースト」のレシピを例にとると、

フレンチトースト:
【材料】
・食パン…1枚
・生卵…1個
・砂糖…20g
・牛乳…50cc
・バター…5g
・メープルシロップ 少々

【作り方】
(1)生卵、砂糖、牛乳を混ぜる。
(2)食パンを三角状に2つに切り、(1)に10分程度浸しておく。
(3)フライパンでバターを熱し、
   両面に軽く焦げ目がつくまで(2)を焼く。
(4)焼きあがった(3)の上に、メープルシロップを振り掛ける。

と、おおよそ以上のような感じになっているのではと思います。

次に、これをもとに方法のクレームを作ってみますと、


【発明の名称】フレンチトーストの調理方法

A.生卵1個と砂糖20gと牛乳50ccとを
  攪拌(かくはん)する段階と、
B.前記攪拌したものに、
  予め三角状に2つに切った食パンを約10分間浸す段階と、
C.前記約10分浸した食パンを、
  予めバターを入れて熱しておいたフライパンを使用して
  両面に軽く焦げ目がつくまで焼き上げる段階と、
D.前記焼き上げた食パンの上に
  所定量のメープルシロップを振り掛ける段階と

  からなるフレンチトーストの調理方法。


と、まあこんな感じになります。
中身は全部周知なので特許性はありませんが、
体裁は立派な特許クレームです。

ここで、各ご家庭には、
それぞれの作法にのっとったフレンチトーストがあるでしょう。
「うちはメープルシロップではなくてグラニュー糖を使ってるよ!」
とか、
「うちのは、食パンを焼き上げた後に、
長方形に、しかも3つ切りにします」
などなど。

こうした違いに基づいて、
「だから、うちのフレンチトーストはお宅のとは異なります」とか、
「うちのフレンチトーストのほうがずっと美味しいですっ」とか、
いろいろと議論が紛糾しそうですね。
実は、特許紛争も、これとほぼ似たような理屈で争われています。


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2007年10月2日(火)

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