知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第20回
今度はフレンチのフルコースで練習です

前回の模擬クレームは、「方法の発明」でした。
以前、発明には「物の発明」、「方法の発明」、
「物を生産する方法の発明」の3種類があるとご説明しましたが、
実は、これらの中で最も多用されるのは、「物の発明」です。
権利内容の特定のし易さ、
侵害立証の容易性などから好まれるのではないかと思うのですが、
せっかくですので、
こちらの方も料理を例にとって試作してみましょう。


【発明の名称】フレンチのフルコース

A.グリーンアスパラの冷製スープからなる本日のスープと、
B.マグロとアボガド、海老のポン酢ジュレからなる前菜と、
C.レモンクリームソースを伴った
  白身魚のポワレからなる魚料理と、
D.フォアグラを添え、
  トリュフソースを伴った鴨肉のソテーからなる肉料理と、
E.チョコカスタードを使用した
  メレンゲケーキからなるデザートと、
F.自家製の天然酵母パン、又は有機米を使用したライスと、
G.コーヒー、紅茶、果汁100%ジュースのうちの
  何れか1つからなる飲み物と

  から構成されたことを特徴とするフレンチのフルコース。


構成要素(A〜G)の組み合わせが
ディナーとして上手いか下手かは別として、
こうして見ると、これまた立派な特許クレームになっています。
私には美味しそうに思えるのですが、皆さんはいかがですか?

ちなみに、
仮に上記内容のフルコースが特許になっているとした場合、
例えば構成要素C(白身魚のポワレ)だけを外したコースを
第三者が実施(お客様に提供)しても、侵害にはなりません。
侵害と言えるためには、
上記要素A〜G全てを実施する必要があります(第8回ご参照)。
では、構成要素Dの「鴨肉のソテー」を
「牛フィレのステーキ」に変えただけの場合はどうなるかというと、
両者が「均等」と言えるかどうかが論点となります。

このような具体例に基づいて考えると、
イメージがつかみ易くなったのではないでしょうか。
あっ、いけません。
ワインを入れ忘れました!
まだまだ修行が足りませんね(笑)。


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2007年10月4日(木)

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