知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第25回
中国では『馳名(ちめい)商標』といいます

前回、著名商標について触れましたが、
実は、中国にも同様の制度がありますので、
ご紹介したいと思います。

中国では、著名商標とは言わずに、
「馳名(ちめい)商標」と呼ばれます。
最近中国を旅行された方なら、
商品のラベルや高速道路沿いの看板に書かれているのを
思い出されたことでしょう。
文字通り「名の馳せた商標」ということですが、
日本のように「著しい名の商標」とするよりも、
ずっと躍動感溢れる生き生きとしたネーミングのように感じます。
さすがは商人の国ということでしょうか。

この馳名商標ですが、
制度の片鱗は、どうも1990年あたりから見られたようで、
認定基準がはっきりしていなかったり、
ずっと中国国内の企業にしか認められなかったり
といった状況が続きました。
外国企業への認定も含め、制度として一応整ったのは、
2003年6月に試行された
「馳名商標認定保護規定」からという理解が正しいと思われます。
中国の世界貿易機関(WTO)への加盟も
少なからず影響していると思いますが、
ごく最近になってからということです。

馳名商標に認定されると、細かな相違点はありますが、
日本の著名商標の場合とほぼ同様に、
商品・役務の枠を超えた手厚い保護があるようです。
さらに、馳名商標の効力は、単に商標のみならず、
商号やドメインネームにまで及ぶようですから、
商標の保護措置としては
日本の場合よりも手厚いと言えるかもしれません。
もっとも、日本の場合も、
著名な商号やドメインネームは
不正競争防止法で保護されます。

次に、認定数についてですが、
2006年度の段階では、中国国内・国外合わせて、
約400件の認定がありました。
このうち、外国企業に対する認定は、10%程度です。
まだまだ少ないという外国からの声も聞こえてきそうですが、
制度自体まだ新しいことも考え合わせると、
これらの中国の発展に伴う改善を期待したいところです。

気になる日本企業の認定ですが、
2006年度の時点でまだ6件しかありません。
ちょっと淋しい気がします。
認定順に、
「YKK」(YKK株式会社)、
「NISSAN」(日産自動車株式会社)、
「DAIKIN」(ダイキン工業株式会社)、
「Panasonic」(松下電器産業株式会社)、
「HONDA」(本田技研工業株式会社)、
「豊田」(トヨタ自動車株式会社)の6件です。

えっ、それだけ?
あの世界的に著名な日本企業は?
という声もあると思いますが、
どうも中国国内の商標事件がきっかけとなって
認定活動に熱が入るケースが多いようです。


←前回記事へ

2007年10月16日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ