第27回
ちょっと変わったトレードマークあれこれ
これまで、商標の類似判断や
指定商品のあれこれをご説明してきましたが、
商標として取り扱われるトレードマークの種類にも、
世界各国で様々な特徴が見られますので、
ちょっとご紹介しましょう。
まず、日本の中で少し変わったトレードマークといえば、
「立体商標」があります。
通常、商標というと、文字や図形、記号などの
平面的な組み合わせを連想しがちですが、
日本では、平成8年改正により
立体商標も認められるようになりました。
これは、文字通り、立体的な形状からなる商標で、
不二家株式会社の「ぺこちゃん人形」や、
日本ケンタッキー・フライド・キチン株式会社の
「カーネル・サンダースおじさん」が国内で登録されています。
最近では、菓子「ひよ子」を
立体商標として認めない旨の知財高裁判決が出て
話題になりましたね(その後、最高裁も2007年4月に
「ひよ子」を立体商標と認めない旨の判決を出しました)。
米国では、ずっと前から立体商標登録が認められていて、
例えば、コカコーラのあの独特な瓶の形状が
立体商標として登録されています。
米国における商標に対する考え方としては、
さらに個性が出ていて、
音響商標とか色彩の商標といったものも登録対象となります。
例えば、音響商標では、パソコンのCMで、
インテルCPUが搭載されている機種で必ず流れる
「♪チャン・ポンピンパンポン」が有名です。
少し余談になりますけれども、ハーレー・ダビッドソン社は、
ハーレーのあの渋〜いアイドリング音を出願したそうですが、
長い争いの末、結局登録には至らなかったそうです。
さらに、個性の際立ったところといえば、
米国の他に少なくとも英国で認められている
「匂いの商標」があります。
が、こればっかりは実務経験が全くありませんので
なんとも言えません。
もし、匂いの商標として登録されるとすれば、
「シャネルの5番」(の香り)などが
あってもいいような気がします(未確認です)が、
その場合どうやって登録内容を保管するのでしょうね。
やはり現物保管でしょうか?
類似の判断も難しそうです。
こうした管理や判断の難しさもあってと思いますが、
日本では採用されていません。
考えてみれば、商標というのは、
消費者が「あ、あのお店(企業)のあの商品だ」
ということが識別できること、
そうした「自他識別力」を保護して
取引の秩序を保っていくことが重要なのですから、
視覚に訴えるものだけでなく、
聴覚や嗅覚に訴えかける顧客吸引力をも保護しようというのは、
自然な成り行きと言えるのかも知れません。
米国特許商標庁が子供向けに公開している
音響商標の紹介ページです。
例のインテルもお聴きいただけます。(※1)
※1 http://www.uspto.gov/go/kids/kidsound.html
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