| 第28回うちの子は天才かも・・・著作物登場です
 ある日、小さな子供が粘土でちょっと変わった象さんを作り出しました。
 その象は、アフリカ象ともインド象ともいえぬ独特の形状で、
 大人にはとても真似のできない雰囲気を醸し出しており、
 芸術性すら感じさせる一品です。
 ただでさえ子供の一挙手一挙動に感激しやすくなっている
 親御さんはもう大変です。
 「この子は天才だぁ!」
 なんとか皆に教えたい!知らせたい!広めたい!
 そうだっ、まずは写真に撮ろう!
 次は・・・、登録だ、意匠出願だ!
 いや待て、意匠というよりは著作物か。
 でも、著作物ってどうやって申請するのだっけ・・・。
 私達は、普段、登録済みの様々な意匠に囲まれていますし(登録されている最も大きな日常物品は、自動車でしょうか)、
 また、知らず知らずのうちに著作ブツを生み出しています。
 冒頭の例のように、子供ですら日々創作活動(?)をしています。
 こうした日常生活に身近なモノが意匠にあたるのか、
 または著作物なのか、実は判断が微妙なものも数多くあります。
 まず、意匠については、これまでにも使ってきたキーワードなのですが
 「工業デザイン」でなければなりません。
 「工業」というからには、少なくとも、
 ある程度「量産可能なモノ」でなければならないのです。
 意匠法は、産業の発達を目的とした産業立法ですので、
 残念ながら、一点モノは保護対象から外されることになります。
 ですから、冒頭の「象さん」自体は、意匠登録出願できません。
 しかし、ちょっと頭をひねると、親御さんの希望をかなえることができます。
 例えば、最初に親御さんが行った写真撮影ですが、
 この写真をもとに「絵はがき」や「バースデーカード」、
 或は「カレンダー」を大量に生産したとします。
 この場合には、お子さんの象さんが写し込まれた、
 物品「絵はがき」、
 物品「バースデーカード」、
 物品「カレンダー」
 として、それぞれ意匠登録の対象となってきます。
 あるいは、お子さんの象さんを鋳物のように型どって、
 銅製の文鎮として大量生産するならば、
 文字通り物品「文鎮」として意匠登録出願可能です。
 このように、意匠出願は物品とのセットになります
 (第13回ご参照)。
 では、『象さん』自体を著作物として保護しようと思ったら・・・。実は、何もしなくても著作権は発生しています。
 著作権法では、
 著作物の創作と同時に著作権が生じるものと規定されているのです。
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