知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第35回
9億円のドメイン名

私がこのコラムを掲載させていただいているサイト、
「ハイハイQさんQさんデス」のURLは、
”http://www.9393.co.jp/”です。
郵便で手紙を送る場合であれば宛て先として住所氏名を書くように、
ドメイン名はインターネット上で接続したいサイトを特定するための
住所のようなものです。
より正確には、”www.9393.co.jp”の部分が
ドメイン名と呼ばれます。

ドメイン名を取得しようと思ったら、
ドメイン名登録機関に対して登録申請をすることになりますが、
原則として、
申請者が好きな文字数字の組み合わせを申請することができます。
もちろん、すでに押さえられているものは登録できません。
これは、新規に契約した携帯電話などの
メールアドレスを取得する場合と同じです。
また、次回ご説明しますが、
わが国では、他人の商号や商標などと同一又は類似のドメインを
不正目的で取得することも
不正競争防止法で禁じられています。

しかし、米国では、
こうしたドメイン名の高額取引が続出した時期がありました。
ちょうどインターネットが急速に普及し始めたのが
1990年代初め頃ですので、
その頃、ドメイン名を取得しようと思えば、
たとえば、”ameria.com”とか、”cool.com”とか、
誰でも一目で覚えやすいドメイン名は、
早い者勝ちで取得できた時期があったのです。

中でも、もっとも高額で取引されたドメイン名は、
90年代末に売却された”business.com”で、
なんと日本円にして9億円です。
こうした動きは日本でも見られるようになり、
一時は著名な会社のドメイン名を
我先にと押さえる者まで出てくる始末でした。

日本の商標登録出願であれば、
未登録であっても
既に周知著名になっている商標と同一又は類似の出願は、
拒絶されてしまいます。
しかし、インターネットという新しい世界で、
商標と同じように自他識別力を発揮するドメイン取得に関する
ルール作りが追いついていなかった時期があったことも確かです。

ちなみに、冒頭の9億のドメイン名ですが、
今年の7月に、
日本円にして420億円で再度売却されたとのニュースが
複数筋で流れています。
米有名ビジネス誌でも
このドメイン名の売却価格の行方が注目されて、
度々報道されていたようです。

9億円が、数年後にはナント420億円!ホント度肝を抜かれます。


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2007年11月8日(木)

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