知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第37回
特許の世界にも『潮の流れ』あります

「波の高低にとらわれることなく、潮の流れをみるように」
とは、株の売買における要点の一つとされているようですが、
特許の世界でもこれと似たようなうねりがあります。

まず、特許出願が多く出される分野(主力分野)が
時代時代によって変遷してきました。
日本の場合ですと、
戦後、化学・繊維の分野での出願が大きな波を作り出すと、
やがてその波は造船や鉄鋼などの重工業に移り、
次に自動車・家電・コンピュータへとシフトしていきます。
現在、日本で群を抜いて出願件数の多い業種は、
家電を含めた電機業界ですが、
近年では、バイオ、ビジネス関連の出願も話題になりました。
ここまで書いて気づきましたが、
株の世界のトレンド(牽引銘柄の変遷)と
重なる部分も多いのではないでしょうか?

次に、さらに大きな根本的な流れとして、
特許制度そのものが
盛り上がるか下火になるかという流れがあります。
「プロパテント」と「アンチプロパテント」です。
米国を振り返ってみますと、およそ50年ごとに
「プロパテント」と「アンチプロパテント」が繰り返されています。
合衆国の独立後、ヨーロッパに追いつけ追い越せで
発明(産業)奨励の流れが続きますが、
1930年前後の大恐慌までの50年間は、
特に「プロパテント」全盛期でした。
ちょうどエジソンの活躍した時期がこれに一致します。
大恐慌後は、「アンチプロパテント」の時代が約50年間続きます。
そして、レーガン政権時代、
基幹産業の技術力低下に歯止めがかからない状況で
如何に国を富ませるかに頭を悩ませた結果、
1985年にかの「ヤングレポート」が発表されます。
以後、米国を皮切りに、現在にいたるまで
プロパテントの潮流が世界に波及しています。

このまま行くと、あと30年くらい先までは
プロパテントの流れになると考えても良さそうですが、
中国がいよいよ産業活動を本格化してきましたので、
高度な技術を身に付けた将来の中国が
米国並みに知的財産保護を打ち出すとすれば、
世界的なプロパテント時代はさらに続くかもしれませんね。


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2007年11月13日(火)

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