知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第40回
ジェネリック医薬品と特許との関係

CMでもお馴染みのジェネリック医薬品。
「後発医薬品」ともいいます。
既に製品化されている医薬と同一成分で構成された
後発の医薬品のことです。
通常、先発医薬品(新薬)は特許になっていることが多いことから、
後発医薬品が堂々と市場を出回るということは、
先発医薬品の特許が切れた後ということになります。
ジェネリック医薬品は、新薬の成分をそのまま真似るだけですので
開発費はほとんどかからず、
価格を低く抑えることができます。
特許でおさえられた新薬の特許期間が満了したあとに
ゾロゾロと出回るところを揶揄されて
「ゾロ品」と呼ばれることもあるようです。

ここからは統計的なお話なので、多少誤差があるかもしれません。
現在、日本の医薬品の市場規模は年間8兆円程度と言われており、
このうち後発品のシェアは15%程度です。
これに対して欧米諸国における後発品のシェアは
5割前後だそうですから、日本の促進度はまだ低いと言えます。

もっとも、欧米では日本より20年以上も前から
高齢化が問題となっていましたので、
膨張する医療費を抑えるための
政策がとられてきた結果とも言えます。
日本の厚生労働省でも
後発医薬品の利用促進のための施策が検討されているようです。
そうした日本の動きを察知してか、
最近では、インドの製薬会社による
日本の後発医薬品メーカーの買収が話題にのぼっていますね。

一方で、人類の生命にかかわる重要な新薬を開発するには、
100億円単位での開発費がかかると聞いた事があります。
ですから、新薬が高くなってしまうことも、
ものの道理ではあるわけです。

この点、「出願日から20年」という特許期間が
両者の調整を図るのにひと役かっているといえます。
この権利期間には、
特許で保護された新薬が先行投資を十分に回収した後には、
世の中で広く利用されるようにしなさいという
意味合いも込められているのです。
この特許期間の決め方は世界的協定に基づくもので、
多くの国でも採用されている基準です。

発明をした者にインセンティブとして一定の期間独占権を与え、
期間が満了すれば広く世に開放する。
特許制度の根幹ともいえる精神です。


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2007年11月20日(火)

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