知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第44回
得得ワンコイン名画DVDのなぜ?

家電量販店や書店、はたまた大型のDIY店舗などで、
1本500円で販売されている
「懐かしの名画シリーズ」をよく見かけます。
ちらりと作品をのぞいていてみますと、
「武器よさらば」、「風と共に去りぬ」、
「荒野の決闘」、「禁じられた遊び」などがあります。
最近私がちょっとカッコいいなぁと思う
ハンフリー・ボガードの「カサブランカ」もありました。

これらが、
なぜ「500円」といった大特価で販売されているかというと、
いわゆるオープンソース、
つまりソフトがタダになってしまった作品だからです。
映画の著作権も何十年もすると著作権が切れます。
どれくらいで切れるかは
今回のテーマですので詳しくは後で述べますが、
著作権が切れればあとは材料費とプレス代、運搬費などの経費、
それに利益を乗せればよいだけなので、
古い映画については驚くような低価格で供給できるのです。

ちなみに、制作年数を見てみますと、
「武器よさらば」が1932年、「風と共に去りぬ」が1939年で、
「カサブランカ」が1942年といった感じです。
どれも「相当むかしなんだね〜」といった大くくりにはできますが、
いったいどの程度昔のものが集められているのでしょうか?
実は、
「1953年以前」というのが一つの区切りになっているはずです。

なぜ1953年かというと、
この50年後の2003年(平成15年)に、
日本の著作権法の改正があり、
映画の著作権が「公表後50年」から
「公表後70年」に延長されたからです。
この改正著作権法の施行日は2004年1月1日でした。
つまり、2003年12月31日午後24時の時点で
公表後50年を満了してしまった映画の著作権は切れるが、
その時点で1年でも権利を残している映画には
さらに20年の延長が認められるという、
映画の著作権者にとっては大変な分水嶺となったのです。

1953年制作の映画というと、
「シェーン」「終着駅」「ローマの休日」
など多くの名画があります。
実際、「シェーン」と「ローマの休日」は、
本当に裁判沙汰になりました。


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2007年11月29日(木)

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