知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第46回
著作権の保護期間は長い?短い?

日本における映画の著作権の保護期間は、
2004年1月1日に施行された改正法により
「公表後70年」になりました。
では、文学や美術など他の著作物の保護期間はどうかというと、
「作者の死後50年」あるいは「作品の公表後50年」です。

なぜ映画だけが70年に延長されたかというと、
内外(主に外)の映画産業界からの
強い要望(圧力?)があったからです。
実は、この50年という保護期間が定められる
1970年より前の保護期間は38年でした。
それが50年に延長され、今度はさらに70年に延長されたわけです。
その間、多くの古典的名作は
法改正のたびに命拾いしている状況です。
聞くところによれば、
米政府を介したディズニーからのご要望も厚かったようです。
かのディズニーは
「わが社の著作物の権利の保護を厚くすることは
国益(米国のですが)につながるのだ!」
と豪語しているのだとか。
確かに東京ディズニーランドの収益力はもの凄いですものね。

最近では、文学や音楽などの著作物の保護期間についても
70年に延長するような活動が活発になってきています。
実は、これについては
専門家の間でも反対(慎重)意見があって
なかなか考えさせられます。

保護期間延長の賛成派は、
おもに著作権管理団体や作家の遺族の方々です。
賛成の理由は
「保護期間の延長が創作者の新たな創造意欲を高める」
「作家が作品に込めた思いは永遠に保護されるべき」
「早熟で早世してしまう作家の遺族をしっかり守るべきだ」
といったものです。

一方で、保護期間延長の反対(慎重)派の意見としては
「保護期間を70年まで長くしまうとかえって後進が育たない」
「偉大な創作であっても常に先人の作品の影響を受けているはず」
「作家の遺族だけが長々と不労所得を得るのは不公平だ」
といったものがあります。

私見ですが、日本の国策を考えた場合には、
アニメ大国「ニッポン」がこの分野で世界をリードするために、
戦略的に保護期間の延長を進めていくことも
考えられないわけではありません。
ちなみに、手塚治虫さんの作品の著作権は、
現行法では2039年12月31日をもって消滅します。

皆さんは、どうお考えになりますか?


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2007年12月4日(火)

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