| 第47回知的財産の寿命
 これまで、著作権の保護期間についていろいろ見てきました。他の知的財産の寿命はどうかというと、
 特許権は出願日から20年まで、
 実用新案権は出願日から10年まで、
 意匠権は設定登録日から20年まで、という保護期間になっています。
 こうしてみると、著作権ほどには議論が加熱せずに、
 ほどほどの長さでまとまっている感があります。
 このように知的財産に有限の保護期間を定めているのは、一方で発明者や創作者のインセンティブを高め、
 他方でこうした発明やデザインを
 ゆくゆくは世に広く開放することによって、
 産業発達の相乗効果を図るためです。
 例えば、保護期間があまり短いと発明者さんの意欲が減退してしまって、
 世の中の技術の牽引力が弱くなってしまいますし、
 反対に、あまりに長い独占期間を発明者さんに認めてしまうと、
 技術の普及が進まず産業の発達に悪影響を及ぼします。
 ですから、特許権の場合であれば
 「出願日から20年まで」という保護期間は、
 今までの試行錯誤を経てようやく落ち着いた境界線なのです。
 もっとも、今後、技術の開発スピードがもっともっと進めば
 「保護期間なんて20年も要らない」
 ということになるかもしれませんし、
 技術開発にもっともっとお金がかかるようになれば、
 「20年ではとても投資分を回収できないよ」
 といったことになるかもしれません。
 さて、ここで一つだけ特別扱いを受けている知的財産があります。ズバリ、事実上半永久的に保護を受けられるものがあるのです。
 もうお気づきの方もおられるかと思いますが、『商標権』です。
 商標権の保護期間は、「設定の登録の日から十年をもって終了する」
 となっているのですが、
 更新登録によって何度でも更新が効きます。
 ですから商標権者が見捨てない限り
 半永久的に存続していくわけです。
 考えてもみれば、何十年もかけて育ててきたブランド(信用)を一定の期間が過ぎれば取り上げてしまうなんておかしな話ですね。
 そんなことをしたら社会的な混乱も大きいと思います。
 これまで折に触れて商標の特殊性を取り上げてきましたが、こんなところにも
 商標ならではとも言える特徴を見ることができます。
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