知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第52回
デューデリジェンスと知的財産

近年では日本でもM&Aが盛んになってきましたが、
買収しようとする企業の価値を評価するのに、
「デューデリジェンス」とか
「デューデリ」などと呼ばれる
企業実態調査が重要視されてきています。
企業の価値は、古くから「ヒト・モノ・カネ」と言われていますが、
実はデューデリにおいて着手されてきたものは、
順番が逆のような気がします。
つまり、カネ・モノ・ヒトの順です。

カネは、数字にはっきり出ますし、
モノも、不動産や動産の類なら
まあ安定的に算定できると言えるのでしょう。
しかし、ヒトに関する評価はどうやったらいいのか、
なかなか見当を付けにくかったのではないかと推察します。
従業員に対する退職金積立の運用管理といった観点なら、
お金が目に見えるので、まだとっつきやすいかもしれません。
しかし、研究者やデザイナーの開発能力となると
個人差も大きいでしょう。
ヒトに機械のような効率を当てはめるのは無茶というものです。

そんな「ヒト」が生み出す資産価値として、
特許やデザインなどの知的財産があります。
ブランドとしての価値は
前回(第51回ご参照)ざっとお話しましたが、
特許権や意匠権なども企業の価値を決定する要素として
重要度が高まっています。
私の所属する事務所にもそういった依頼があり、
今後ますます増えていくものと予想します。

ところが、知的財産の価値評価はまだまだ難しいです。
特許権ひとつとって見ても、
具体的に実施料収入があるならかわいい我が子ですが、
まだ登録に至っていない出願中のものはどう評価したらよいのか、
権利になっていても潰される心配はないか、
実施されていない権利の価値はどうするのか、
自社実施されているだけの権利はどの程度の価値とすべきか、
などなど多くの要素が関与してきます。

具体例をご紹介しますと、
『その特許技術が規格に採用されているか否か』は、
比較的重要な指標の一つです。
その規格が採用されている全製品の市場調査から
比較的容易に経済規模が試算できますし、
他社の実施状況を調査する場合にも
「(規格に準拠)イコール(採用特許技術の実施)」の図式で
簡単に判断することが可能だからです。
規格はDVD規格でもなんでも構いません。
もちろん、業界統一規格であれば言うことなしです。

特許はただ権利になっただけでは半人前で、
使われてはじめて一人前。

ちょっと拝借いたしました(笑)。


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2007年12月18日(火)

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