| 第71回そのクアルコムもブロードコムには敗訴!
 2000年以降、携帯電話業界においてCDMA技術が主流となるにつれて、
 世界中の携帯電話機メーカーが、
 クアルコムに特許料を支払わなければならなくなりました。
 しかも、その額は技術の普及につれて膨大なものとなっていきます。
 あまりにもクアルコムへの支払が多いために
 経営が立ち行かなくなっていくメーカーも出始めました。
 こうなると、ずっと締め付けられてきた企業は一丸となってクアルコムに反発します。
 実は、2005年に、エリクソン、NEC、ノキア、
 テキサスインスツルメント、ブロードコム、松下電器の6社は、
 クアルコム社のライセンス契約条項が
 「公正かつ合理的、非差別的」な条件に当たらず、
 欧州条約に違反するとして
 欧州委員会に異議申し立てを行っています。
 しばらく目立った動きがなかったのですが、
 昨年秋、ついに欧州委員会も
 クアルコムの独占禁止法違反に関する
 正式調査を開始するというニュースが流れました。
 欧州委員会では2004年にも
 マイクロソフトに対する独占禁止法違反を認定したばかりなので、
 今後の動向がさらに注目されるところです。
 個別に見てもクアルコムと対立する企業が目立ってきました。携帯業界の覇者ノキアは
 このところずっとクアルコムと特許訴訟を繰り返して
 対立が絶えませんし、
 上記異議申し立てを行った6社のうちの1社であるブロードコムも、
 自らが有する特許をクアルコムが侵害したとして
 米国連邦地裁に提訴し、昨年5月に勝訴しています。
 このときの損害賠償の支払命令額は、約2000万ドルと聞いています。
 特許法は、一定期間の独占(的なライセンス供与を含む)を認める代わりに
 その技術内容を広く公開させる産業法ですが、
 行き過ぎると必ず反発や調整を招きます。
 独占禁止法はそのブレーキ役になる場合があります。
 ご紹介した例はほんの一例に過ぎません。携帯電話業界では、
 いまなお高額なライセンス料をめぐる紛争が繰り返され、
 出口の見えない泥沼状態が続いています。
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