| 第72回マフィア改めパテントトロール再び!
 第38回でパテントマフィアについて簡単にご紹介いたしました。自身は物を作らずに
 特許を個人発明家やベンチャー企業などから買ってきて
 大企業に揺さぶりをかけ、
 多額の賠償金や和解金を取る人たちのことです。
 「マフィア」とか「トロール(怪物)」といった名前は
 他人が揶揄してネーミングしたものですから、
 本人たちにはこうした自覚はありません。
 普段はソフトウェア会社、
 技術企画会社を名乗っている場合が多いです。
 さて、このパテントトロールですが、ここ2〜3年くらいでしょうか、
 米国でかなり大きな問題となったようです。
 米国ハイテク大企業が、
 トロールに泣かされて大金を巻き上げられてしまうので、
 トロール封じにつながる法改正を行うよう議会に働きかけたのです。
 具体的な改正案の項目としては、訴訟の場以外でも他人の特許成立に異議を唱えることができる
 特許異議申立制度の導入や、
 差止請求・三倍賠償請求に対する条件強化などがありました。
 ちょうど同じ時期に、日本国内では
 米国特許法が古くからの先発明主義のしがらみを断ち切って
 いよいよ先願主義へ移行か!?
 ということばかりに焦点が当たっていましたので、
 並行して議論されていたこれらの点は
 あまり伝わってこなかったかもしれません。
 しかし、トロール封じの改正案は、ベンチャーキャピタルを含めた個人発明家サイドの反対が強く、
 議論はなかなか前に進まなかったようです。
 米国は日本とは異なり、
 大企業に劣らず個人発明家やベンチャー企業の力が強いので、
 はたで見ていた私などは大変良い勉強になりました。
 こうしたトロール封じのきっかけとなった最近の事件には、米国最大のオークションサイトを運営するeBay(イーベイ)の
 即決(Buy It Now)機能にまつわる特許訴訟や、
 無線メール機能付き携帯情報端末の
 ブラックベリー(BlackBerry)にまつわる訴訟などがあります。
 今後も改正の議論や動きはあるでしょうが、ちょっと昔をさかのぼると、
 もう少しわかり易い形で
 トロール対大企業の構図を勉強することができます。
 次回から少し立ち入って
 古典的な例をいくつか取り上げてみましょう。
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