| 第74回レメルソン氏、数億ドルを稼ぎ出す!
 レメルソン氏は、サブマリン特許、米国の個人発明家といえば
 必ず登場する有名人物です。
 生涯に取得した特許件数は500件を超えると言われ、
 数の多さではエジソンに次いで歴代2位です。
 そのレメルソン氏が世界をあっと言わせたサブマリン特許は、38年もの潜伏期間を経て、1992年に成立しました。
 つまり、出願されたのはなんと1954年です。
 しかも、この特許、2009年まで有効なのです。
 前回にも申しました通り、
 米国では出願公開制度がありませんでしたから、
 継続出願を繰り返し、何十年も潜伏し続けたのでした。
 そうして、90年代に入って初めて陽の目を見た特許発明の内容ですが、
 なんと世界中の自動車メーカーなどが既に広く実施していた
 生産ラインにおけるバーコード読み取りと
 画像処理技術に関するものでした。
 「マシンビジョン」発明として知られています。
 1992年以降、レメルソンとそのパートナーたちは次々と大企業に対して特許権侵害の警告を発していきます。
 もちろん、
 当時羽振りが良かった日本企業も数多く含まれていました。
 その羽振りの良さも手伝ってか、
 粘って莫大な訴訟費用を払い込むよりもということで、
 早々に適当な和解金(それでも高額と思いますが)で
 手を打ったようです。
 実は、当のレメルソン氏は、1997年に死去してしまいます。何十年も下積みがあって、ようやく陽の目を見たのに、
 わずか数年でこの世を去ってしまったのです。
 もちろん、数百件にも及ぶ彼の特許の管理運営は、
 彼のパートナーシップに引き継がれています。
 デビューは鮮烈でしたが、彼は本当に発明家として生きた人のようです。
 また、莫大な特許料収入から得た私財の多くを投じて
 「レメルソン財団」を設立し、
 現在でも個人発明家をバックアップしています。
 マサチューセッツ工科大学から贈られる
 『レメルソン/MIT発明賞』という有名な賞もあります。
 もしかしたら、日本においてもベンチャー起業に関連するものも含めて
 個人発明家の時代が到来するかも知れません。
 その時には、このレメルソン氏のことを
 きっと思い出されることでしょう。
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