知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第75回
リファック社の凄腕副社長

パテントトロールが猛威を振るった90年代に、
凄腕と言われた弁護士出身の副社長がいます。
リファック社で副社長をしていたフィリップ・スパーバー氏です。
リファック社は当時典型的な特許管理会社で、社員は十数名ほど、
年商は多い時で数十億円あり、
多くの日本企業もカモにされたようです。
元手は主に個人から安く買い取った特許と交渉の腕だけですから、
コストパフォーマンスはかなり良かったと言えるでしょう。

リファック社が保有していた特許で有名なものに、
デジタル時計のコロン点滅技術に関する特許があります。
コロン点滅技術といっても大した技術ではないのです。
ちょっと古いタイプのデジタル点灯式置時計で、
「分」をあらわす「:」が点滅するものがあったと思いますが、
アレです。
そうです。
あれだけの動作が特許になってしまったのです。
たぶん、動作中であることが一目でわかるということと、
1秒の間隔を視覚的に
表示できることくらいの効果しかないと思うのですが・・・。
まさにそこが盲点だったのかもしれません。

氏は弁護士出身というだけあって、
交渉の進め方も非常に戦略的でした。
警告を行う会社をグループ分けして段階的に交渉を進めていくとか、
「時限交渉」といって早く折れた者には実施料率を割り引いて、
粘ろうとする相手にプレッシャーをかけるといった
巧みな手法を使ったのも彼が最初だと言われています。
「凄腕」の所以ですが、
このやり方は「リファック戦法」として世に知れ渡ります。
後発の多くのパテントトロールたちも
リファック戦法を真似たと言われています。

しかし、きっと敵も多かったであろう氏は、
若くして自動車事故にあって亡くなります。
当時、特許ゴロの烙印を押されて
会社の評判もあまりよくなかったことから、
暗殺されたのではないかという噂がまことしやかに囁かれました。
今となっては藪の中です。

そんなスパーバー氏ですが、
聞くところによれば、
生前には内緒で恵まれない子供達に学費などを援助する
足ながおじさんをされていたそうです。
お金儲けのやり方に上品も下品もないと言われることがありますが、
氏のお金の使い方には
人としての気持ちが残っていたことがうかがわれます。


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2008年2月9日(土)

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