| 第79回グーグルの書籍電子化の試み
 書籍の電子化に関してグーグルが取り組んできたことを簡単にご紹介しましょう。
 実は、こうした取り組みはグーグルが最初ではありません。
 古くはプロジェクト・グーテンベルク(※1)が
 1971年頃から著作権切れの名作の電子化を始めていますし、
 日本でも青空文庫(※2)が有名ですね。
 グーグルが2004年に書籍の電子化プロジェクトを立ち上げた時、米国の出版業界は
 このプロジェクトが
 大規模な著作権侵害の温床になると警戒しました。
 しかし、グーグルの方でも誤解を解くことに熱心で
 ソフトによるブロック機能をアピールするとともに
 プロジェクトに参加することのメリットを訴求しました。
 例えば、このサービスの利用状況(検索結果)は
 詳細に分析されて参加出版社に提供されます。
 出版社にとっては有益なマーケティング情報になるわけです。
 また、書籍の検索結果ページに広告を掲載して
 広告収入を参加出版社に分配するとか(グーグルのお家芸ですね)、
 検索結果ページからすぐに購入できるようなボタンを付けて
 販売を促進するといったメリットも魅力となりました。
 賛同する出版社や大学図書館は徐々に増えていきますが、反対勢力も相変わらずいて
 2005年頃には著作権侵害の疑いがあるという理由で
 立て続けに提訴されます。
 グーグルもプロジェクトを一時中断したほどです。
 マイクロソフトなどライバル会社の横やりもありました。
 ですが、欧州をはじめとした諸外国の賛同を得て活動を再開します。相変わらず米作家協会などによる提訴が続きますが、
 2005年終盤にはヤフーも同様の電子図書館をオープンさせて
 サービスの提供を開始します。
 アマゾンも書籍全文検索サービスを開始して
 ネット上で立ち読みができるようにしました。
 こうした流れは、グーグルに反対して押さえ込むよりも
 自分達も急いでサービスを手がけて儲けた方が得だという
 判断のあらわれといえるでしょう。
 昨年には日本版もスタートしたようですし、
 世界中の情報を得られるようにするというグーグルの精神が
 少しずつですが実を結びつつあります。
 ※1 http://www.gutenberg.org/wiki/Main_Page※2 http://www.aozora.gr.jp/
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