| 第84回地域ブランドを守る
 前回お話した「萩の月」や「東京ばな奈」は、比較的最近ブレイクした名物です。
 実は、もっとずっと昔から
 全国に知れ渡っている地域の特産品や名産品は、
 「青森りんご」とか
 「長崎ちゃんぽん」といえばすぐピンとくるように
 結構たくさんあります。
 「萩の月」も「東京ばな奈」も幸い商標登録されているようですのでひとまず安心なのですが、
 さきほど挙げた地域産品の名称には、
 (地域名)+(普通名称)という構成をとるものが多いため、
 やすやすとは登録を受けられないという事情がありました。
 理由は、地域名に普通名称をたし合わせただけのような商標は、使われている言葉があまりに一般的であるため、
 特定の人に独占的な使用を認めるのはよろしくないというものです。
 一方で、使用の結果、特に著名に至ったものには例外的に登録が認められてきました。
 「夕張メロン」、「高崎ハム」などがあります。
 しかしこれは本当に特例で、登録の要件となっている
 「著名性」を獲得するための努力は大変なものでした。
 有名になるように一生懸命頑張っているうちに
 あちこちの業者から名まえを真似されて
 識別力を発揮できないまま
 登録の機会が失われてしまうものも少なくなかったようです。
 そこで、「地域ブランドを守る」という趣旨で平成17年に商標法が改正され、
 「地域団体商標」制度が導入されたのは皆さんご存知の通りです。
 これは、事業協同組合などの団体が
 その構成員に使用させるために
 地域の名称と普通名称(又は慣用名称)のみからなる商標であって
 ある程度の周知性があれば、
 地域団体商標として登録を認めることとしたものです。
 この制度によって、
 先の例でいう「夕張メロン」とか「高崎ハム」の頃よりも
 登録の垣根がぐっと低くなりました。
 地域団体商標として登録されたものには「草加せんべい」、「博多人形」、「関さば」などがあります。
 平成18年4月1日施行されてから
 これまでに600件以上出願されているようですので、
 今後も何かと新聞やニュースの話題になることでしょう。
 |