知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第85回
松下電器の社名変更

松下電器産業株式会社が今年の秋から社名を
「パナソニック株式会社」(英文表記:Panasonic Corporation)に
変更することを決めたのは1月10日のことでした。
特集を組む経済誌もありましたので、
世間の注目度はかなり高いと思います。

生前、本田宗一郎さんが、
「ホンダ」という表記を社名に用いてしまったことが
最後まで悔やまれると語られていたという
お話をきいたことがあります。
グローバル化を一層進めていくうえで
一個人名を冠するのはよろしくないと
お考えになったのかもしれません。
今回の松下電器産業の意思決定にも
少なからずそうした背景があったものと思われます。

個人名を冠した社名を改めた会社には、
同業界でも早川電機(70年に「シャープ株式会社」に社名変更)や
立石電機
(90年に「オムロン株式会社」に社名変更)がありますので、
松下電器ほどの大きな会社で
この時代まで個人名が残っていたというのは、
いかに「松下ブランド」が
神聖の域にまで達していたかを物語るものだと言えましょう。

それだけに、社名の変更によって失ってしまうものは、
他の会社より大きいのではないかとも思います。
もともと「パナソニック」ブランドは、
松下電器内でAV機器に使用されたペットネームでした。
それが、80年代以降はAV機器部門全体のブランドとして、
さらに2003年以降には松下グループ全体のブランドとして
世の中への定着を図ってきた歴史があります。

松下電器といえば、他にも「ナショナル(National)」、
「パナ(Pana)」といった
複数のブランドも展開してきましたので、
これら全てのブランドが
長い間世間の人に松下電器を想起させ続けてきたことは、
高度成長時代のニッポンの象徴
と言える部分があるのかもしれません。

そんな日本もこれから本当に大きな試練が待っていることは、
ハイQサイトをご覧の方ならよくご存知でしょう。
松下電器も日本という国に密着したイメージを拭い捨てて、
企業レベルで日本脱却を図ろうとしているのかもしれませんね。


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2008年3月4日(火)

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