| 第86回企業によるブランドの使い分け
 松下電器産の社名変更のお話は、パナソニックというペットネームが
 ハウスマーク(コーポレーテッドマーク)に
 取って代わるという大きな出来事でしたが、
 企業には、いくつものブランドを使い分ける動きが活発です。
 例えば、トヨタでしたら高級車ブランドとして「レクサス(Lexus)」を展開してきていますし、
 化粧品でも「マキアージュ」とか「TSUBAKI」とか
 「エリクシール シュペリエル」と言えば
 すべて資生堂のブランドです。
 どういった年齢層や購買層をターゲットにするのかなどについて
 周到に計画したうえで、
 企業は新しいブランドをスタートさせます。
 逆にいえば、こうした木目細やかな使い分けが必要とされるほど、
 消費者層をしっかり絞っていかないと売れないんですね。
 商品ブランドに使われるペットネームは、できるだけ簡潔でイメージが伝わり易いものが好まれます。
 発音してみて舌を噛まないことも重要な要素と思います
 (私の場合、『エリクシール シュペリエル』は
 ちょっと危ないですが・・・)。
 そうすると、おのずと字数も限られてきますし、一定範囲の言葉に人気が集中することになります。
 唐突な例ですが「ドルチェ(DOLCE)」という商標は、
 時計ではセイコーが押さえていますし、
 NTTドコモの携帯電話にも同名の機種がありました。
 また、サッポロビール株式会社も商標権者として
 同名のブランデーを販売しています。
 イタリアを代表するファッションブランドにドルチェ&ガッバーナがありますが、
 もともと同国で「甘美な、優美な」という意味を持つ
 響きの良い言葉です。
 もっとも、ドルチェ&ガッバーナのドルチェさんは
 創業者のお名前のようですが、
 命名の由来はきっとこちらでしょう。
 そういえば、「D&G」というブランドは
 ドルチェ&ガッバーナの廉価版ブランドとして
 使い分けられていますね。
 戻しますが、日本ではイタリア語の意味に加えて響き良さが秀逸な言葉だと思いますので、
 やはりこれだけの人気が集中するわけです。
 同じ「ドルチェ(DOLCE)」でも
 それぞれの商品によって込めたい意図が具体的に伝わってきます。
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