| 第91回ミサイル防衛にみる日本の技術
 昨年12月の防衛庁の発表によると、海上自衛隊のイージス艦「金剛」が
 ハワイ沖で行われた日米との合同訓練で
 弾道ミサイルの迎撃に成功しました。
 衛星が捉えた敵国の弾道ミサイル発射情報を受けてイージス艦のレーダーでさらに詳細に捕捉し、
 艦上から発射された迎撃ミサイル(SM−3)が
 弾道ミサイルを大気圏外で打ち落とすというものです。
 SM−3が迎撃に失敗した場合には
 地上に配備されたパトリオット(PAC−3)が
 迎え撃つ算段になっているそうです。
 SM−3の実射訓練は米国以外では初めてということで、
 ミサイル防衛における日米関係が
 今後さらに緊密なものになることが予想されます。
 私の率直な感想は、今回の訓練はハイ発射しま〜すという号令があって
 万難を排した迎撃訓練であることと、
 「金剛」が迎撃ミサイルを発射するとしても
 米軍からの相当量の情報支援が必要でしょうから
 実戦で海上自衛隊は
 1秒を争う迅速な対応がとれるかどうかということが
 少し心配になりました。
 ミサイル防衛に関する今後の日米の取り組みとして日本側からの技術供与も予定されていると聞きます。
 その第一弾はミサイルの頭頂部分のカプセル部材の供与だそうです。
 なんでもこのカプセルはミサイルが大気圏に出るまでの間
 弾頭を保護する重要な役割を担うものらしく、
 大気圏に出ればきれいに縦に割れて分離し
 弾頭を露出させる仕組みになっているとか。
 この話を聞いたときに、私はすぐに日本の町工場の職人さんを思い起こしました。
 ミサイルの頭頂部分は丸い形状になっていて、
 この部分の加工は日本流でいえば
 絞りという特殊な技能を必要とする手作業であるはずです。
 たしか、マシン加工では難しいと聞いています。
 そうした特殊加工品であるからこそ、日本の「職人技」にまずお声がかかっているのかも知れません。
 職人技はノウハウも含めて立派な知的財産です。
 個人的にも職人さん大好きですので、
 次回から少し掘り下げてみましょう。
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