| 第92回ロケット製作には職人技が必要です
 ロケットにも多くの先端技術が必要とされます。同時に、職人による匠の技が必要とされる分野でもあります。
 例えば、国産ロケットH2、H2Aロケットの部品点数は
 30万点前後だそうですが、
 そのうちのかなりの割合が「1点モノ」の部品です。
 本体の設計や組み立ては大手重工の独断場かもしれませんが、
 こうした1点ものの部品となると職人技が光る場面が増えてきます。
 日本では、メディアにも度々登場する北海道赤平市の植松電機さん(※1)が有名です。
 もともと超軽量マグネット装置の開発に成功されて
 事業を伸ばされたようですが、
 専務をされていた息子さんが夢を追いかけて
 ロケットに関わる仕事もされるようになったそうです。
 大学の研究室とも共同プロジェクトを推進されています。
 国内のみならず、海外でも、ロケットエンジンの開発で有名な
 Xコア・エアロスペース社(※2)や、
 民間企業として初めて有人宇宙飛行を成功させた
 スケールド・コンポジット社(※3)があります。
 これらの会社に共通していると思うのは、「地道さ」です。ロケットというと見たままの派手な印象を持ってしまいがちですが、
 製作側の日々の取り組みは設計に始まって
 試作及びテストの繰り返しと言えます。
 いくら理論にかなっていても
 予期せぬ問題が発生することがありますし、
 トライ・アンド・エラーが
 ほぼ唯一の駆動力と言えるのではないでしょうか。
 そういえば、技術者が晩年に語られていた零戦開発秘話を思い出しました。
 当時はコンピュータなど存在していませんでしたので、
 図面を引いては「計算尺」をぐるぐる回して
 強度計算をする地道な日々がずっと続いたそうです。
 とくに零戦は軽量化が大きな課題となっていましたので、
 図面に鉛筆一本分の穴を空けられそうな隙間を見つけると
 喜々として計算をやり直してその結果に一喜一憂したそうです。
 こうした目立たない努力って、時代と技術が進んでも変わらない部分があると思いませんか。
 ※1 http://uematsu-electric.fte.jp/※2 http://www.xcor.com/
 ※3 http://www.scaled.com/
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