知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第95回
特許出願するかノウハウにするか

特許制度の原則は
新規発明を公開させる代償として
一定期間独占権を付与するというものです。
ですから兵器や武器に関わる特許発明を出願してしまうと、
その内容は公開されてしまいますから
開発側(国)としてはたまったものではありません。

では、他国では
こうした兵器や武器にまつわる特許出願の取り扱いを
どのようにしているのかというと、
「秘密特許」としてその存在を公にしないようにしています。
例えば米国では、
ある出願があって国防に関する機密技術だと認定した場合には
「秘密特許」に指定され、出願事実すら秘密にされます。
その場合、
出願した人は特許を取得してもその存在が他人に知らされず、
ライセンスすることすらできませんので、
国がこれに見合った補助金を出すようです。
米国のほかに、英・独・仏でも同様の制度が導入されています。

実は、日本でもこの秘密特許制度が導入されようとしています。
平成21年の通常国会での特許法改正に伴って
導入されることになるでしょう。
詳しくは次回お話したいと思いますが、
現在のところは、日本の特許出願は全て公開されてしまいます。

ですから、公開されるのが嫌であれば、
いっそのこと『ノウハウ』として
出願しないという選択肢もアリです。
例えば、
内部を開けても絶対に解析できない構造になっている発明は、
たとえ製品が市場を出回ったとしても
自ら仕掛けを明かさなければ誰も真似できませんから、
それはそれで市場での優位性を維持できるわけです。

具体的には、組み込み回路のロジックなどは、
いったん回路に焼き付けてしまうと
リバースエンジニアリングでも解析が困難であることから
出願しないと判断されることがあります。
あるいは、製造方法に関する発明で、
部外者がまず立ち入らないような工場内でのみ実施されるものは
あえて出願しないことも有効です。

小耳にはさんだところによると、
アメリカ航空宇宙局(NASA)では
こうした使い分けが大変上手と聞いています。


←前回記事へ

2008年3月27日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ